かつて私が勤務していたグローバル企業では、ポジティブフィードバックのカルチャーが構築されていました。では、カルチャーとして根付いていない場合はどうすればよいのでしょうか?
グローバル企業におけるフィードバックカルチャー
私は国内外10カ国で仕事をする機会をいただきました。グローバル企業にはさまざまな国の出身者がいましたが、多くの場合は英語が公用語。英語での「フィードバック」にはポジティブとネガティブ(改善のため)がありますが、ネガティブだけということは少なく、必ず肯定的な要素が含まれていました。
また、海外の人は思ったことをストレートに言う人が多く、何かをしたら「すぐに」フィードバックをくれました。そんな環境で仕事を学んだ私は「フィードバックを日常にするのが当然」という企業カルチャーを経験することができました。
ポジティブフィードバックのおねだり法
グローバル企業でも、全員の上司がポジティブフィードバックをくれるわけではありません。「フィードバックは頻繁にもらえるもの」という経験をしたからこそ、フィードバックの得られない相手には「おねだり」すればよいことも学び、実践してきました。では、実際どのようにそれを「リクエストすればよいか」をお伝えしましょう。
<フィードバックをくれない上司に>
上司の中には「上司から認めてもらったこと」や「承認された経験がない」方もいらっしゃいます。そんな方があなたにポジティブフィードバックをくれなくても、悪気があってそうしているわけではありません。
そんな場合は上司に「ポジティブフィードバックのおねだり」をしてみましょう。例えば、取引先や会社内でプレゼンをした後に「いかがでしたか? できたら、よかった点と改善点を教えてくださると嬉しいのですが」と聞いてみるのです。大半の上司は答えてくれるでしょう。普段は意識をして「よいところ探し」をしていない上司や、「やってくれて当たり前」と思っている上司も「よかったところを教えてください」と聞かれることで、部下のよさを言語化することで自分自身の気づきにもなるでしょう。
<意見を引き出したい部下やチームに>
私が今までにもらったポジティブフィードバックの中で、一番うれしかったのは部下からのものでした。「私は上司としてちゃんとできているのか?」「部下たちに尊敬され、期待に沿えているのか?」と不安だったときに、「あなたは今まで出会った中で最高の上司」と言ってもらえたことは今でも忘れられません。
●文/ヴィランティ牧野祝子(まきの のりこ)
国際エグゼクティブコーチ、株式会社グローバル・キャリアデザイン代表
米コロンビア大卒、仏INSEAD(欧州経営大学院)MBA修了。イタリア・ミラノ在住。障害児を含む3児の母。20年間に渡り、国内外10カ国で米系戦略コンサルティングファーム、仏系化粧品会社、英系酒販会社、伊系アパレル企業でマーケティングや新規事業の立ち上げなど、さまざまなキャリアを積む。さまざまな仕事で培った経験やノウハウを活かし、国際エグゼクティブコーチとして独立。考え方や事情の異なる人たちが一緒に仕事をするには、個々のよさを引き出す環境を作ることが必要と考え、ポジティブフィードバックを活用したコーチング・スキルを伝える活動を行う。法人・個人を問わず、グループ面談やセミナーなどを年間2000セッション実施。著書に『国際エグゼクティブコーチが教える人、組織が劇的に変わるポジティブフィードバック』(あさ出版)。