第1回「採用活動に生かす完全失業率・求人倍率の見方」
政府や調査機関などが発表している労働関係の統計データを中心に、データの見方や、仕事に生かすやり方を解説します。
1.はじめに
インターネットの普及により、さまざまな統計データを誰でも簡単に入手できるようになりました。これらのデータは、採用計画の策定や賃金水準の調整を行うときなどに、大いに役立ちます。
このコラムでは、インターネットから入手できるさまざまな統計データを紹介し、その見方や使い方について説明します。今回は、雇用情勢を捉えるときの代表的なデータである「完全失業率」と「求人倍率」を見ていきます。
2.「完全失業率」を見る
完全失業率とは「完全失業者÷労働力人口×100(%)」で算出される指標で、総務省統計局の「労働力調査」で毎月公表されます。
完全失業者とは「月末の1週間のうちに収入を伴う仕事を1時間以上しなかった」「仕事があればすぐ就くことができる」「仕事を探す活動や事業を始める準備をしていた」という3つの条件を満たす者を指します。
また、労働力人口とは、「15 歳以上の人口のうち、学生、専業主婦、高齢者等を除いたもの」です。
2013年1月の完全失業率(季節調整値)は4.2%となりました。2003年1月から2013年1月までの10年間の平均値が4.5%であること、また、2009年5月から2010年11月までは完全失業率が5.0〜5.5%で推移していたことなどを踏まえると、現在は、雇用情勢の改善局面にあることが分かります。
3.「求人倍率」を見る
雇用情勢を捉える指標として、厚生労働省が「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」の中で毎月公表している「求人倍率」もよく使われます。これは「求人数÷求職者数」で算出される指標で、1.0を上回れば(求職者1人に対して1件以上の求人があれば)、就職しやすい状況であることを示します。
その月に新たに発生した求職者数と求人数によって算出した「新規求人倍率」と、前月から繰り越された求職者数、求人数も含めて算出した「有効求人倍率」の2種類があります。
2013年1月の新規求人倍率(季節調整値)は1.33、有効求人倍率(同)は0.85です。両指標ともリーマンショック後の2009年に大幅に低下したものの、そこから上昇を続けており、ここからも雇用情勢の改善傾向が読み取れます。
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●深瀬勝範
経営コンサルタント・社会保険労務士。1962年神奈川県生まれ。一橋大卒。大手電機メーカー、金融機関系コンサルティング会社、大手情報サービス会社を経て、独立。企業・公共団体の人事制度設計や事業計画の策定等のコンサルティング、人事労務専門誌などに寄稿も行っている。著書に「労政時報別冊 実践人事デ−タ活用術」(労務行政)。
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