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判例に学ぶ労使トラブルの処方箋/岡正俊

どうする? 資格手当の支給基準〜M社事件(最高裁令和2.10.13判決、労判1229号90頁)〜

近年、労働関係の訴訟は社会的関心が高まり、企業にとって労使トラブル予防の重要性は増しています。判例をもとに、裁判の争点やトラブル予防のポイントなどを解説します。(2024年6月25日)

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【事案の概要】
 本件は、第1審被告会社と有期労働契約を締結して、地下鉄の駅構内における販売業務に従事していた第1審原告らが、正社員のうち上記販売業務に従事している者と第1審原告らとの間で「労働条件に相違があったことは労働契約法20条に違反する」と主張し、不法行為等に基づき、損害賠償等を求めた事案です。
 いわゆる日本版同一労働同一賃金に関するものであり、問題となった手当など争点は多くありましたが、本稿では資格手当の点に絞って解説したいと思います。





 被告会社の正社員の基準賃金は本給と各種手当から成り、本給は年齢給と職務給で構成されていました。職務給は、職務グループごとの資格及び号俸により定められる給与であり、正社員の一般職の職務グループは、スタッフ職として資格S-1からS-3、リーダー職として資格L-1からL-3、マネージャー職として資格Mが設けられていました。

 原告らは契約社員Bであり、1年以内の期間を定めて被告会社と労働契約を締結した者で、駅売店における販売業務及び付随業務にのみ従事していました(なお、契約社員Aというのもありましたが、特別の沿革があるものであり、いわば契約社員Bのキャリアアップ形態として位置づけられていました)。

 契約社員Bの賃金は時給制の本給及び諸手当から成り、資格手当はありませんでした。一方、正社員には、55歳未満のL-3以上の資格を持つ者には手当(3000〜5000円)が支給されていました。


【裁判所の判断】
 前述のとおり、資格手当の点に絞って触れます(最高裁は退職金について判断を示しており、資格手当については高裁の判断が維持された形です)。

 まず、正社員と契約社員Bの間には、「職務内容及び変更範囲に相違がある」としています。そして資格手当については、正社員の職務グループ(マネージャー職、リーダー職、及びスタッフ職)における各資格(M、L-1〜L-3、S-1〜S-3)に応じて支給されるものであるところ、契約社員Bは従事する業務内容に照らして正社員と同様の「資格を設けることは困難である」と認められ、これに相当する手当が支給されなくとも「やむを得ないというべきである」としました。

 結論としては、資格手当の相違は、不合理であると評価することができるものとはいえないから、労働契約法20条にいう「不合理と認められるものに当たらない」と解するのが相当であるとしました。
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●文/岡正俊(おか まさとし)
弁護士、杜若経営法律事務所代表。1999年司法試験合格、2001年弁護士登録(第一東京弁護士会)。専門は企業法務で、使用者側の労働事件を数多く取り扱っている。使用者側の労働事件を扱う弁護士団体・経営法曹会議会員。
https://www.labor-management.net/
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