日本生活協同組合連合会/復興支援で、組織理念を再確認 全国の生協に支援を呼び掛け、現在も継続
企業のさまざまな制度や取り組みを紹介する取材企画「制度探訪」。今回は、震災の復興支援を推進する日本生活協同組合連合会の事例です。
震災当日から支援
東日本大震災が起き、被災地を支援する動きは全国各地で生まれた。全国に加盟組織を持つ日本生活協同組合連合会(日本生協連※)もその1つだ。発災後、日本生協連はすぐさま支援活動に乗り出した。
「震災の夜には水や食料などの緊急支援物資を積んだ10トントラック4台を埼玉県桶川市の物流センターから出発させ、翌朝には仙台市内のみやぎ生協の物流センターに到着しました。私自身は3月15日に支援活動に入りました。東北道では日本生協連のバスのほかは、自衛隊か、警察か、消防の自動車ばかりでしたね。交通規制によって一般車両が走れない中で、日本生協連の人脈で交通許可証をもらうことができ、いち早く支援活動に取り組めました」
日本生協連会員支援本部宅配事業支援部の松居哲生さんは言う。
※生協とは、組合員が出資金を出し合い、生活の安定と生活文化の向上を図るため、相互の助け合いで運営されている。日本生協連は、生協の全国連合会で、主な事業としてコープ商品の開発と全国の会員生協への商品供給などを行っている。
現場主導で支援
震災直後、被災地にはとにかく物資が足りなかった。日本生協連では、被災地の生協と連絡を取り、必要とされる物資の手配を行うとともに、全国の生協に支援を呼び掛けた。
「生協には宅配事業があるので、トラック、人、食料という緊急時に提供できる3点セットがもともとありました。震災から約1カ月間で、全国の生協からトラック延べ1190台、支援者延べ3587人が派遣され、水や食料など約71万点を被災地にお届けしています。また、このような助け合いのバックグラウンドとして、社会活動家で、日本の生協の父と言われる賀川豊彦の思想が全国の生協に根付いていることがあります。阪神・淡路大震災の際にはコープこうべを全国の生協が支援したという経験があり、それ以降も災害のたびに地元生協を中心に全国の生協が支援活動をしていたので、支援の精神やノウハウも蓄積されていたんです」
松居哲生さん
例えば、震災直後、停電と電話もつながらない中でも、被災地の生協店舗では店を開け続け、平常時であれば本部の確認が必要な商品価格を自主判断で100円均一、50円均一などで販売したという。また、自宅避難している住民を個別で訪問し、お見舞いとして食料品や生活品を届けた。現在でも困りごとの相談を受けたり、生協組合員の安否確認、移動販売やお買い物バスの運行などを行っている。
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●日本生活協同組合連合会
本部所在地/東京都渋谷区渋谷3-29-8 コーププラザ
創立/1951年
職員数/1073人(2011年度末)
出資金/91億円
事業内容/会員生協への商品供給、事業・活動支援など
ホームページ/ http://jccu.coop/
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