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退職に関するトラブル判例〜引き継ぎ・復職の判断基準・育成費用〜

人事労務関連のニュースから、注目しておきたいものをピックアップしてお伝えします。(2025年11月6日)

 10月、警視庁が退職代行サービス会社モームリに、家宅捜索を行ったというニュースがありました。弁護士法違反の容疑で、弁護士資格がないにも関わらず、顧客を弁護士に紹介して報酬を得ていたという疑いです。退職代行サービスとは、本人に代わって退職の意思を会社に伝え、その後の手続きに関することを請け負うサービスです。2017年頃に登場し、近年、若年層を中心に急速に利用が拡大しています。

 民間企業が行う退職代行サービスには制約があります。企業が担えるのは、依頼者の勤務先に「退職の意思を伝える」役割に留まります。残業代の支払いや有給休暇の取得調整など、退職にあたって発生する法的な交渉は、弁護士(もしくは労働組合)しか行うことができません。
 人事労務に関するトラブルの中でも、退職は問題が起きやすいと言えます。判例解説の連載コンテンツの中から、退職に関するものをピックアップしてご紹介します。





【判例� 朧�き継ぎをしなかった退職者に損害賠償を請求できるか?〜P社事件〜
 原告会社は、コンピュータのソフト・ハードウェアの設計・製造・販売等を目的とする会社です。被告は、平成26年4月1日に原告会社にシステムエンジニアとして入社しましたが、うつ病にかかったとして退職しました。原告会社は被告がうつ病と偽って退職し、就業規則に違反して業務の引き継ぎを行わなかったことが不法行為に当たるなどと主張して、被告に約1,270万円の損害賠償を求めました。

 一方、元従業員の被告も自分に対する訴訟提起等が違法行為に当たるなどとして、原告会社と代表取締役に対し、330万円の損害賠償等を求めました。なお、原告会社の就業規則には、以下の定めがありました。

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【判例�◆柯�職できるかどうかの判断基準〜J事件〜
 本件は、病気休職中であった原告が復職の意思を示し、現実に可能であるにもかかわらず、被告(会社)が休職期間満了による退職扱いとしたことが「就業規則等に違反し、無効である」とし、従業員としての地位確認等を求めた事案です。なお、被告の就業規則では「180日間欠勤し、なお、就業できないと認めた場合は、病気休職を命ずる」とされ、病気休職の期間は3年以内とされていました。

 原告は、鉄道会社の労働者で、車両の検査業務に従事していました。作業中異変があり、救急車で病院に運ばれ、脳内出血と診断されて入院しました。退院後、自宅療養、通院治療を行い、欠勤日数が180日を超えたため、平成6年12月13日付で休職を命じられました。平成9年10月21日付の精密診断書には、(1)右片麻痺4/5、(2)構語障害、(3)複視の後遺症、「軽作業なら行えるが右手の巧緻障害は認められる」、安静度については「特別な規制はない」と記載されていました。

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【判例��】早期離職したスタッフに育成費用を返してもらえるか?〜T社事件〜
 タクシー会社に就職し、会社から教習所の授業料や就職支度金の支出を受け、その後これらの金銭の返還免除の条件を満たす前に退職した元従業員2名に対し、会社がこれらの金銭の「返還を求めることができるか?」が争われた事案です。求人広告には「2種免許取得費会社負担」「教習期間中日給1万支給」「支度金20万円住宅提供可」などと記載されていました。面接担当官が、募集要項に基づいて一通り待遇の説明を行いましたが、同要項を交付しませんでした。

 募集要項には、(1)免許取得のための授業料・受験料等は会社が立て替えること、(2)教習費として日額1万円を支給すること、(3)就職支度金として20万円を4分割で支給すること、(4)自動車学校入校時までに金銭消費貸借契約を締結し、2種免許取得にかかった費用(学校費用・教習費)および支度金は、タクシー乗務員として800日の乗務日数を満たしたときは返済義務を免除すること等が記載されていました。その後、元従業員2名との間で実際に金銭消費貸借契約を締結しました。

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●文/三宅航太
株式会社アイデム メディアソリューション事業本部 データリサーチチーム所属。
大学卒業後、出版社に入社。書店営業部を経て、編集部に異動。書籍の企画・制作・進行・ライティングなど、編集業務全般に従事する。同社を退社後、フリーランス編集者、編集プロダクション勤務を経て、株式会社アイデム入社。同社がWebサイトで発信する人の「採用・定着・戦力化」に関するコンテンツの企画・編集業務を担う。働き方に関するニュースの考察や労働法の解説、取材、企業事例など、さまざまな記事コンテンツを作成している。

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