ティーペック株式会社/がんに罹患した社員を支援 福利厚生の充実で生産性アップ
ティーペック株式会社は、従業員が健康で幸せな生活を送ることが事業の発展につながるという考えのもと、約2年前にがんに罹患した従業員が安心して働き続けられる仕組みを導入した。2015年3月、東京都の「がん患者の治療と仕事の両立への優良な取組を行う企業表彰」で優良賞の栄冠にも輝いた同社に、導入の背景などを伺った。
健康な社員がお客さまを幸せにする
1989年創業のティーペック株式会社は、医療と一般社会にある垣根を取り除いて、誰もが気軽に医療情報にアクセスできる“インフラ”と呼ぶべきものを形作ってきた。代表的なサービスは、医師や看護師ら医療の専門家に、24時間365日、電話で健康についての相談ができる「ハロー健康相談24」。現在、1500もの企業・団体が加入しており、相談件数は年間100万件に達するなど、多くのユーザーに活用されている。最先端分野で活躍する名医を紹介する「セカンドオピニオンサービス(ドクター オブ ドクターズ ネットワーク)」や、メンタルヘルス関連の相談事業なども好評を得ている。
同社は健康に関わる事業を展開しているだけに、社員の健康づくりにも積極的に取り組んできた。現在はその意志を「ティーペック社員健康宣言」として、生活習慣病対策やメンタルヘルス対策、女性の健康対策などの6項目にまとめ上げるとともに、各項目の実現のために自社の医療サービスの提供、ウォーキングの推奨、カウンセリングの実施といったキメ細かな制度を形作っている。代表取締役社長の砂原健市さんは、健康に関わる取り組みを充実させた背景をこう語る。
「健康に関する相談を受けて、お客さまの不安を取り除き、幸せに導いていくのがティーペックの使命。しかし、社員自身が心身ともに幸せでないと、お客さまを幸せにすることなど不可能です。だからこそ、企業の成長とともに健康支援を始めとする福利厚生の充実化を図ってきました」
代表取締役社長 砂原健市さん(左)と人事部部長 大神田直明さん(右)
働きながらがんと闘う者のために
「がん対策」も健康宣言の1つに位置づけており、治療休暇や治療に関する情報提供を行うと明文化している。 近年、がんは早期発見・早期治療をすれば、治癒率が飛躍的に高まる時代に突入している。治療法も患者に負担をかけないスマートなものが増えており、長期間の入院を強いられることなく、働きながらの治療も可能となった。同社でも通常勤務をしながら、がんと闘う社員が見られるようになったが、制度が整うまでにはさまざまな問題があったと人事部部長の大神田直明さんは振り返る。
「通院治療といっても、抗がん剤の投与や放射線治療の際には会社を休む必要があります。闘病中のある社員が有休を使い切ってしまい、追加治療には給与カットを受け入れて休まざるを得ない状況になってしまいました。ただでさえ治療でお金がかかるのに、給料が少なくなるのはかなり苦しいこと。そういった方たちに安心して働いてもらえるように、がんで闘病している社員たちに対する『特別有給休暇制度』を導入しました」
その結果、がん患者の場合、通常の有給休暇とは別に月2 日までの治療休暇の取得ができるようになった。また、時差出勤や負担の少ない部署への配置換えなどにも柔軟に対応。治療法に関しても、自社のセカンドオピニオンサービスなどを活用して最先端のものを提供する。全額会社負担で主要5つのがん検診を受けることも可能で、大腸がんなどは最先端の検診にも対応しているという。さらにはメンタル面のケアにも取り組んでいると砂原さん。
「がんに罹患すると、例外なく精神的に落ち込んでしまいます。専門家が援助しないとうつになる可能性もあるので、メンタルケアも制度化しました。日本の自殺者の40%は病苦による心の病と言われています。今はがんに罹患しても早期発見であれば8割は治癒するので、自ら命を絶ってしまうのはあまりにも悲しいこと。そうした事態を少しでも防ぎたいと私たちは考えています」
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●ティーペック株式会社所在地/東京都千代田区外神田5丁目2番1号設立/1989年資本金/2億5000万円従業員数/195人(平成26年7月現在)事業内容/電話による健康相談ほか、医療関連サービス及びEAP関連サービスホームページ/ http://www.t-pec.co.jp/
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