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知っておきたい労働法超入門

第16回「セクシュアルハラスメント」

労働関連法で勘違いしやすいこと、意外と知られていないことなどをピックアップして解説します。

 セクシュアルハラスメント(セクハラ)とは、性的嫌がらせのことです。男女雇用機会均等法では事業主に対し、職場におけるセクハラ対策のために、相談窓口を整備するなどの必要な措置を講ずることを義務付けています。対象者は正社員やパート・アルバイトなど、事業主に雇用されているすべての労働者だけではなく、自社に派遣されている派遣社員も含まれています。


 厚生労働省の指針では、職場でのセクハラを2つのタイプに分けています。
 1つは、対価型セクシュアルハラスメントです。職務上の立場を利用して、労働者の意に反する性的な言動や行為に及び、それを拒否したり、抵抗した人に降格・減給などの不利益を負わせることです。例えば、上司が部下に人事考課などを条件に性的な関係を求める、事業主が職場内での性的な発言に対して抗議した者を配置転換する、学校で教師などの立場を利用して学生に性的関係を求める、などです。


 もう1つは、環境型セクシュアルハラスメントです。性的な関係は要求しませんが、性的な言動などによって労働者たちを不快にさせ、職場環境を損なう行為です。例えば、恋愛経験を執ように尋ねる、宴会で男性に裸踊りを強要する、職場内にヌードポスターを掲示する、私生活に関する性的な噂を意図的に流す、などがこれに当たります。
 セクハラは女性や異性に対して行われるものと思われがちですが、男性に対するものや同性間で行われるものも対象になります。

 
 セクハラは働く個人の尊厳を傷つけるだけでなく、それを許した企業にも大きな損失をもたらす社会的に許されない行為です。職場環境を悪化させ、そこで働く人たちのモチベーションの低下を招くだけでなく、作業効率の悪化や人材の流失につながることもあります。



★今回のポイント

・均等法はセクハラ対策の措置を講ずることを義務付けている
・対価型と環境型の2つのタイプがある
・男性に対するものや同性間で行われるものも対象





●アイデム人と仕事研究所

文/三宅航太
監修/菊地敦子(社会保険労務士)

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