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マネジメントに関する悩みについての解決策を示したり、対処法などを解説します。
■相談
自部署に育休明けの時短勤務社員がいますが、コミュニケーションがうまくいっておりません。育休前は男性社員も顔負けの仕事ぶりで、いわゆるバリキャリ派の女性だったのですが、復帰後は自分の仕事を限定的に捉えてしまい、補助的な仕事の枠から出ようとしません。基礎能力は高いので、「もう少し質の高い仕事もやってほしいんだけどな」と促しても、かたくなに断ります。
関係がギクシャクしたそもそもの発端は、妊娠を打ち明けられたときに、私が「え?で、仕事はどうするの?」と言ったことでした。あとから、「“おめでとう”の一言もなかった」とこぼしていたということを別の部下から聞きました。私もそのときは仕事のことが手いっぱいで、精神的な余裕がなかったのです。
なんとか関係を改善して、やる気を出してもらいたいのですが、どうしたらいいでしょうか?
■回答
子育て中の時短勤務者の方の本音を想像してみましょう。補助的な仕事よりも質の高い仕事を「やります」と一度でも上司に対して言ったなら、子供が熱を出したりして休まざるを得ないときに、その上司から「やると言ったじゃないか」と詰められるのが容易に想像できるのです。つまり、「子育てより仕事を優先させて」と思っている上司に対しては、仕事を線引きして自分を守るしかないのです。逆に、「仕事よりも子育て」という優先順位を理解している上司に対しては、できる限り力になりたいと、仕事に一生懸命になれるのです。まずは、部下の方の気持ちに寄り添うことから始めましょう。
相談者の方は、関係を改善したいと言っていますが、「おめでとう」よりも先に「仕事は?」と言ってしまったことを、本心から申し訳なかったと反省しているのでしょうか?また、妊娠したことを一緒に喜ばなかったことを、その部下の女性に対してすでに謝っているのでしょうか?
少し言い訳がましい感じで書かれているので、まずはそのことが気になりました。
コミュニケーション上の関係回復を願っているのなら、まずはそこから話をしなくてはなりません。
あなたの心の奥に「何ごとよりも仕事優先」という考えがあり、自分を正当化させているとしたら、恐らく今後もその部下の方とのコミュニケーションが改善されることはないと思われます。
部下の方の立場になれば、「仕事優先」の上司に対して、今の補助的な仕事よりも質の高い仕事を「分かりました。やります」と一度でも言ったなら、子供の緊急対応でやむを得ず仕事をほかの誰かに頼まざるを得なくなったときに、「キミはやると言ったじゃないか」と詰められるのが目に見えているのです。
だから、自己防衛的に「そもそもやれない」と言っている可能性があります。
時短勤務でも、積極的に仕事に取り組んでいる女性の方は数多くいます。今までに私も何人もそんな状況の人たちにインタビューしたことがあります。
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●文/田中和彦(たなか かずひこ)
株式会社プラネットファイブ代表取締役、人材コンサルタント/コンテンツプロデューサー。1958年、大分生まれ。一橋大学社会学部卒業後、人材サービス関連企業に入社し、情報誌の編集長を歴任。その後、映画配給会社のプロデューサー、出版社代表取締役を経て、現在は、「企業の人材採用・教育研修・組織活性」などをテーマに、“今までに2万人以上の面接を行ってきた”人材コンサルタント兼コンテンツプロデューサーとして活躍中。新入社員研修、キャリアデザイン研修、管理職研修などの講師や講演は、年間100回以上。著書に、『課長の時間術』『課長の会話術』(日本実業出版社)、『あたりまえだけどなかなかできない42歳からのルール』(明日香出版社)、『時間に追われない39歳からの仕事術』(PHP文庫)、『仕事で眠れぬ夜に勇気をくれた言葉』(WAVE出版)など多数。
連絡先:info@planet-5.com
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