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パートタイマー白書や学生を対象にした就職活動に関する意識調査など、当研究所が独自で行っている調査から見えてくることを考察します。
現在の勤務先で長く勤めたい6割、他に良い仕事があれば転職したい4割
弊社発行の『平成29年版パートタイマー白書』でパート・アルバイトとして働く、18歳〜59歳までの男女1,600人に聞いた結果です。
この数値をみて皆さんはどのようにお感じになるでしょうか。
少なくとも、最初から辞めようと思って入社する方はほとんどいないと思いますので、4割の方が「転職したい」と思いながら働いているというのは、ちょっと多いのではないかなと私は思います。
現在は、空前の人材採用難時代。
転職意向がある人たちの勤続意向を如何に高めるか。
定着化を進めることはどの企業にとっても重要な課題となっています。
◆定着と仕事へのモチベーションの関係
下記の図は、勤続意向(パート・アルバイトとして現在の勤務先で働き続けたいか?)と仕事へのマインド(今の仕事を面白い、能力発揮ができる、やりがいがあると感じているか?)の関係を4象限で分割してみたものです。
A象限に属する人たちが、“ポジティブ定着”状態。仕事へのモチベーションも高く、勤続意向の強い方たちです。仕事に対しポジティブに働いてくれる頼もしい存在。
逆にB象限に関しては、長期勤続意向はあるものの、仕事に対してもモチベーションは低い人たちです。定着はしてくれるかもしれませんが、仕事に対しての熱意が低く、良いパフォーマンスを提供してくれるとは限りません。
C・Dの象限の人たちは、今の職場に何らかの不満を感じており、転職しようと考えている人たちです。
◆属性別に見た ポジティブ定着の状況
企業側からすれば、働いている従業員はすべてAのポジティブ定着状態になっていて欲しいものかと思います。
アンケート回答者を主婦パート、学生アルバイト、一般(主婦・学生以外のパート・アルバイト)に分けて見ました(注:パートタイマー白書からの分析で、主婦パートのデータが圧倒的に多くなっています)。
主婦パート、学生アルバイトの結果は非常に良く似ていて、ポジティブ定着の割合が高く、ネガティブ定着(仕事へのマインドが低いが勤続意向はある)の割合が少なくなっています。
一方、一般(主婦・学生以外のパート・アルバイト)は、仕事へのマインドが低く、転職意向が高い人が多くなっていました。
これは、パート・アルバイトで働く目的や背景からうかがい知ることができるように思います。
主婦パートや学生アルバイトは、一般に比べ、他に主たる場があり時間的な制約がある中、できる範囲で働いています。
一方、一般の方は、時間の制約は少ないが、気楽に働きたいといった理由で現在の働き方を希望する人もいれば、正社員で働けないから仕方なく現在の働き方を選択しているといった人もいます。その分、パート・アルバイトという働き方や労働条件に不満を持つケースも多くなりやすいといえます。
働く理由によって仕事へのモチベーションも大きく変わって来ることを考えれば、「働く目的、どんな風に働きたいのか?」を採用時に確認することが重要といえます。自社で用意できる労働条件と求職者の働く目的がかけ離れている場合は、追々不満につながっていくのではないでしょうか。
◆ポジティブ定着化を進めるには
それでは、最も対象者の多い主婦パートで、ポジティブ定着を実現していくためのヒントを探ってみましょう。
Aのポジティブ定着の状況が一番良い状態と捉えれば、現在の各労働条件においてAの満足度と、B、C、Dそれぞれの満足度との差、つまり、B,C,Dそれぞれの労働条件ついての不満を解消できれば、ポジティブ定着を実現できるということになるのではないでしょうか。
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◆象限ごとの特徴的な労働条件への不満
◆ポジティブ定着実現への共通項
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●文/岸川 宏(きしかわ ひろし)
アイデム人と仕事研究所 所長/社会保険労務士
大学卒業後、リゾート開発関連会社へ入社。飲食店部門での店舗運営を経験後、社会保険労務士資格を取得。社会保険労務士事務所にて、主に中堅・小規模企業の労務相談、社会保険関連手続きに従事した。1999年、アイデム人と仕事研究所に入社。労働環境の実態に迫る情報提供を目指し、社内・外への情報発信を続けている。2015年4月より現職。
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