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よくわかる評価制度の作り方

第4回「おすすめの評価シートの作り方」

人事評価制度を作る上での基本的な考え方から、評価シートの作成方法、実際の運用までを分かりやすく解説します。(2018年7月11日)

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●「A4一枚」ぐらいがちょうどいい

 

 人事評価制度は「運用」が命。「使ってナンボ」なのです。実際に「運用できる」ものを前提に、評価シートを作りましょう。おすすめは、「A4一枚」で完結できるぐらいシンプルなものです。ポイントは、内容へのアクセスのしやすさ。評価者である上司も、被評価者である部下も、すぐに内容を確認できることが重要です。

 

 部下は「今期のうちの目標はなんだっけ?」「自分の課題はどこで、何のスキルアップを図ればよかったのだろう?」、上司は「自分の部下は、どんな成果を出す役割だったか?」「部下の育成ポイントはどこで、何を評価するのか?」、これらをいつでも確認でき、お互いに気づきながら、コミュニケーションを取ることがとても重要です。

 

 これが何枚ものシートで、字が多く、内容が難しい。さらには鍵のかかったロッカーにしまってあると、見なくなります。クラウドシステムでも、IDとパスワードを入力しないとアクセスできないものだったら、そのうちシートを見る機会はなくなります。結局、評価の時期にだけ引っぱり出して、お互いに思い出しながらどうだったろうと、印象で評価をしてしまうのです。

 

 これでは、まったく効果が現れません。評価内容へのアクセスのしやすさ、これが人事評価制度の運用を成功させる鍵なのです。

 

 

 

 

●「成果」「スキル」「姿勢・態度」の3つがおすすめ

 

 では、その運用を重視したシンプルな評価シート、どんな構成にするとよいでしょうか。やはりこれも「人事評価で何をしたいのか?」という目的が重要です。

 

 「業績向上」と「人材育成」につなげることを目的に、考えてみましょう。まず、「成果への行動」を評価項目に入れます。これは比較的、短期的な「業績」につながる項目です。ここに、個人の目標設定を入れることもできます。いわゆる「目標管理」ですが、目標のハードルや客観性、定量化などを考えると、一気に人事評価を運用する難易度が高まります。運用しやすく、継続するためには、最初は入れずに進めてもよいと思います。

 

 次に「成長するスキル」を評価項目に入れます。これは、「人材育成」につながるところです。どちらかというと短期の業績ではなく、中長期で企業の底力を強くしていく、社員の能力向上です。部署や等級によって内容は変わってきますが、ここはまさしく「求める人物像」になります。

 

 最後に、この2つに加えて「組織風土の醸成」も、人事評価で実現していきましょう。これにつながる「姿勢・態度」を、評価項目に入れるのです。日々どんな「姿勢・態度」をとってほしいのか、それを評価項目に入れます。こうして「こういう会社にしたい」という組織風土に、実際に近づいてくるのです。

 

 

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●文/榎本あつし
社会保険労務士。株式会社MillReef代表取締役。一般社団法人日本ABAマネジメント協会代表理事。ABA(応用行動分析学)を用いた組織コンサルティングを行っている。著書に『人事評価で業績を上げる「A4一枚評価制度」』、『自律型人材を育てる「ABAマネジメント」』(アニモ出版)。
http://millreef.co.jp/

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