チームのポテンシャルを最大限に活かすために「現場メンバーのやる気に火をつけたい」。これは多くの上司や経営者がお考えのことでしょう。ポジティブフィードバックは、やる気アップにとても効果的なコミュニケーション・スキルです。
部下とのコミュニケーション、十分にとっていますか?
4月は新入社員の入社や人事異動などで、社内の人間関係に変化の起きる季節ですね。皆様は上司、部下や同僚の方々とコミュニケーションを十分にとれていらっしゃいますか?
コミュニケーションは仕事のための大切なツールで、目的ではありません。適度な「量」で「質」の高いコミュニケーションは、メンバーのやる気スイッチを押すのに効果的です。
「目の前のタスクが山積みで、チームとのコミュニケーションに費やす時間がない」
「1on1や会議はやっているから、コミュニケーションはとれていると思う」
そんな現場の声をよく聞きます。対面で話すにしても、ツールを用いたチャットにしても、コミュニケーションは「量」と「質」が大切です。「量」さえあればよいものではありません。というのは、たとえ毎日話していたとしても、会話が「どうして○○ができていないのか?」「ここがダメ」などの注意やネガティブな指摘が中心では、相手はやる気を持つことは難しいからです。
「見ているよ」「認めているよ」のパワー
人間は誰にでも承認欲求があります。私たちは、老若男女やバックグラウンドに関係なく、「見て」くれている、「認めて」くれていると思うだけで、心理的安全性が守られるだけでなく、やる気がアップします。私も世界10カ国でキャリアを積む中で、この承認欲求がグローバルであることを認識しています。
目標に向かって成果を上げるビジネスパーソンは、足りないところを改善することだけに注目しがち。しかし、減点評価で改善点ばかりにフォーカスしてしまうと努力が報われず、いくら頑張ってもゴールに到着しない気がして、やる気が失われます。「見ているよ」「認めているよ」のメッセージは、相手にとってすごい原動力となるのです。
●文/ヴィランティ牧野祝子(まきの のりこ)
国際エグゼクティブコーチ、株式会社グローバル・キャリアデザイン代表
米コロンビア大卒、仏INSEAD(欧州経営大学院)MBA修了。イタリア・ミラノ在住。障害児を含む3児の母。20年間に渡り、国内外10カ国で米系戦略コンサルティングファーム、仏系化粧品会社、英系酒販会社、伊系アパレル企業でマーケティングや新規事業の立ち上げなど、さまざまなキャリアを積む。さまざまな仕事で培った経験やノウハウを活かし、国際エグゼクティブコーチとして独立。考え方や事情の異なる人たちが一緒に仕事をするには、個々のよさを引き出す環境を作ることが必要と考え、ポジティブフィードバックを活用したコーチング・スキルを伝える活動を行う。法人・個人を問わず、グループ面談やセミナーなどを年間2000セッション実施。著書に『国際エグゼクティブコーチが教える人、組織が劇的に変わるポジティブフィードバック』(あさ出版)。