採用活動は、採用して終了ではありません。すぐに辞められてしまったら意味がないからです。定着・戦力化までを見据えた採用活動について考察します。(2024年1月23日)
Q.年齢制限をしている求人を見かけますが、違法じゃないんですか?
A.年齢制限は原則禁止です。しかし、例外的に認められているケースがあります。
募集時の年齢制限は原則禁止
労働施策総合推進法で、募集時の年齢制限は原則禁止されています。しかし例外的に認められているケースがあり、以下のようになっています。
(1)定年年齢を上限として、その上限年齢未満の労働者を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用するケース
(2)労働基準法など、その他の法令の規定で年齢制限が設けられているケース
例:18歳以上(危険有害業務、警備業務、22時〜翌朝5時までの深夜勤務がある業務など)
(3)長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用するケース
(4)技能・ノウハウの継承の観点から、特定の職種において労働者数が相当程度少ない特定の年齢層に限定し、かつ、期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用するケース
(5)芸術・芸能の分野における表現の真実性等の要請があるケース(12歳以下の子役募集など)
(6)60歳以上の高年齢者、就職氷河期世代(35歳以上55歳未満)または特定の年齢層の雇用を促進する施策(国の施策を活用しようとする場合に限る)の対象となる者に限定して募集・採用するケース
上記の中でも(3)に該当する求人は新卒採用をはじめ、一般的に多く見られます。例えば、「長期勤続によるキャリア形成を図る観点から30歳までを対象とする」という求人は法的に問題ないと言えます。
性別に関わらず均等な対応を
年齢制限と同じく、性別を理由に採用を断ることは男女雇用機会均等法で禁止されています。また、配置・昇進、職種・雇用形態の変更、退職の勧奨・定年・労働契約の更新など、雇用管理の各ステージにおいて性別を理由とする差別も禁止されています。
しかし、例外的に性別を限定した採用が認められるケースもあり、以下のようになっています。
(1)エステティシャン等の風紀上の理由で男性または女性に限定するものや、ホスト・ホステスなど業務の性質上どちらか一方の性に従事させることが必要と認められるもの
(2)守衛・警備員など、防犯上の理由で男性のみに限定するもの
(3)俳優、モデルなどの芸術・芸能分野において男性または女性に限定するもの
(4)巫女等宗教上の理由によるものや、スポーツにおける競技上の理由によって男性または女性に限定するもの
採用難の今、求められること
会社が「どのような人を労働者として募集・採用するか?」は、法律などの規制がない限り原則自由です。しかし、思い込みや既存の慣行に縛られていると、応募の間口を狭めてしまいかねません。例えば、体力が必要な仕事だと募集対象として男性や若い人を想定しがちですが、体力は個人差があります。募集要項では応募者を限定するような文言ではなく、「どのような仕事をするのか?」だけを伝えたほうが多くの人にアピールできるでしょう。採用難の今、年齢や性別といった属性ではなく、個人が持っている能力やスキル・経験などに目を向けることが、採用活動の成功につながるのではないでしょうか。
●文/三宅航太
2004年、株式会社アイデム入社。東日本事業本部データリサーチチーム所属。同社がWebサイトで発信する「人の戦力化」に関するコンテンツの企画・編集業務に従事する。さまざまな記事の作成や数多くの企業を取材。