報告書やメール、SNSでの発信など、ビジネスは文章を書く機会にあふれています。さまざまな目的に合わせて、伝わる文章を書くために必要なことを解説します。(2024年9月3日)
<文章の書き方よろず相談>
Q.メールやSNSでのやりとりで、自分が伝えたい意図とは異なる解釈をされてしまうことがあります。どうすれば、きちんと伝えられるでしょうか?
A.まず、伝えたい内容が「メールやSNSで伝えるのにふさわしいかどうか」を考えます。文章で伝えるのに適しているのは情報です。自分の考えや感情を伴うものはさけたほうがいいでしょう。
メールやSNSでのやり取りを、テキストコミュニケーションといいます。文字を使ったコミュニケーションのことで、テレワークの広がりなどによってビジネスでも一般的になってきています。
コミュニケーションは情報と感情を伝えるものですが、テキストコミュニケーションでは情報だけにしたほうがよいでしょう。具体的には、事実や共有したい事柄などです。
文章は、一方通行の伝達ツールです。書いたものをどう読むかは、読み手にゆだねられます。そのため、まず伝えようとしている内容が「文章で伝えるのにふさわしいかどうか」を考える必要があります。細かい指示や打ち合わせなどのすり合わせが必要なものや、注意をしたり、苦言を伝えたりするなどの感情を伴うものは対面のほうがいいでしょう。互いに確認し合う必要があったり、感情を伝えたりすることは実際に会って話していても、誤解が生まれることがあると思います。文章であれば、なおさらです。
テキストコミュニケーションは情報だけにしておいたほうが無難ですが、自分の考えや思いを伝える必要に迫られたときは、まず内容を整理しましょう。情報と感情に分けて、最初に情報を伝え、その後で自分の考えや思いなどを伝えます。情報と感情が混ざっていると読み手は混乱し、書き手の意図しない読み方をする可能性があります。
例えば、部下が上司に「A社は予算的に厳しいようで、今回のプロジェクトから手を引きたがっているようです」と報告したとします。上司は「予算的に厳しいのは事実なのか、それとも部下の見立てなのか?」「手を引きたがっているのは、先方が実際に言ったことなのか、部下の意見なのか?」がわかりません。これを情報と感情に分けて伝えると、まず「A社の予算は○○円で、担当者が『予算は増やせない』と言っています」と事実を伝えます。そして「以上の点から、プロジェクトを進めるのは難しいと思います」と意見を伝えます。
大切なのは相手を第一に考え、「伝える」のではなく、「伝わる」ようにすることです。
●文/三宅航太
株式会社アイデム東日本事業本部 データリサーチチーム所属。
大学卒業後、出版社に入社。書店営業部を経て、編集部に異動。書籍の企画・制作・進行・ライティングなど、編集業務全般に従事する。同社を退社後、フリーランス編集者、編集プロダクション勤務を経て、株式会社アイデム入社。同社がWebサイトで発信する人の「採用・定着・戦力化」に関するコンテンツの企画・編集業務を担う。働き方に関するニュースの考察や労働法の解説、取材、企業事例など、さまざまな記事コンテンツを作成している。