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伝わる文章の書き方〜報告書からSNSまで〜

第7回「わかりやすくなる主語の扱い方」

報告書やメール、SNSでの発信など、ビジネスは文章を書く機会にあふれています。さまざまな目的に合わせて、伝わる文章を書くために必要なことを解説します。(2024年10月29日)

 前回に引き続き、わかりやすい文章にするテクニックについて解説します。今回は、主語の扱い方を取り上げます。


・はっきりさせる
 文章がわかりにくくなってしまう要因の1つに、主語の扱い方があります。主語は文の主体を示し、その文が「何について述べているか?」をはっきりさせる働きがあります(「○○が〜する・○○は〜だ」という文だと、主語は「○○が・○○は」に当たる部分)。そのため、主語がはっきりしていないとわかりにくい文章になりがちです。主語を明確にしたり、適切に使ったりすることでわかりやすくなります。

 わかりにくい文の典型に「主語がないこと」があります。主語がないと意味が通らなかったり、前後関係から判断することになり、読み手のストレスになります。

<例文1>課長が居眠りをしているのを見た。
<改善例1>私は、課長が居眠りをしているのを見た。





・近づける
 主語に関することでわかりにくい文になりやすいのが、主語と述語が離れていることです。文を読んでいて最後にきたときに「誰が話しているんだっけ?」「何をいっているんだっけ?」と思った経験はありませんか? 主語と述語の間に多くの情報が入っていると、そういうことが起こりがちです。文を書くときは「誰が何をしたのか?」「何がどうしたのか?」を意識し、主語と述語を近づけるようにしましょう。

<例文2>私は課長が、部長が不在のときに居眠りをしているのを見た。
<改善例2>部長が不在のとき、課長が居眠りをしているのを私は見た。


・ねじれに気をつける
 主語と述語が対応していない文を「ねじれ文」と言います。例文3の主語は売り上げ目標について述べようとしていますが、述語は願望(〜したいです)になっていて対応していません。主語と述語を対応させると、改善例3のようになります。

<例文3>私の売り上げ目標は、前年をクリアしたいです。
<改善例3>私の売り上げ目標は、前年をクリアすることです。

 ねじれ文になりやすいのが、一文の中に主語と述語が複数存在するケースです。一文にさまざまな情報を盛り込もうとすると、複数の主語と述語が入り交じって複雑な文になってしまうことがあります。

 例文4は全体から意味を汲み取れるかもしれませんが、文がねじれています。主語(企業は)と述語(〜になっています)が対応してなく、読み手はストレスを感じます。内容を2つに分け、それぞれを文にするとわかりやすくになります(改善例4)。

<例文4>近年、企業は悪質なクレームに悩まされることが増えており、いわゆるカスタマーハラスメントとして社会問題の1つになっています。

<改善例4>近年、悪質なクレームに悩まされる企業が増えていますこれはカスタマーハラスメントと呼ばれるもので、社会問題の1つになっています。

 ねじれ文は、わかりにくい文の典型です。文を書くときは主語と述語を意識し、「対応しているかどうか」を確認することが大切です。


・省略する
 わかりやすい文にするためには主語を省略しないのが原則ですが、有効なときもあります。同じ主語が続いたり、主語がなくても意味が通じたりする場合です。省略によってリズムがよくなり、読みやすくなることもあります。

<例文5>
私は会社員で、営業職に就いています。私は転職して3年目で、前職でも営業の仕事をしていました。私は人とコミュニケーションをとることが好きなので、営業に向いていると思います。

<改善例5>
私は会社員で、営業職に就いています。転職して3年目で、前職でも営業の仕事をしていました。人とコミュニケーションをとることが好きなので、営業に向いていると思います。



●文/三宅航太
株式会社アイデム東日本事業本部 データリサーチチーム所属。
大学卒業後、出版社に入社。書店営業部を経て、編集部に異動。書籍の企画・制作・進行・ライティングなど、編集業務全般に従事する。同社を退社後、フリーランス編集者、編集プロダクション勤務を経て、株式会社アイデム入社。同社がWebサイトで発信する人の「採用・定着・戦力化」に関するコンテンツの企画・編集業務を担う。働き方に関するニュースの考察や労働法の解説、取材、企業事例など、さまざまな記事コンテンツを作成している。

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