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聞いておきたいけど、確認したら就職差別?〜募集・採用に関する法知識Q&A〜

人事労務関連のニュースの中から、注目しておきたいものや社会の動向を捉えたものなどをピックアップしてご紹介します。(2024年12月24日)

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Q.募集・採用では年齢制限をしてはいけないはずだと思いますが、なぜ新卒採用は許されているんですか?

A. 労働者の募集・採用は、原則として年齢を不問としなければなりません。ですが、例外的に年齢制限を行うことが認められる場合があります。

 募集・採用における年齢制限の禁止は、労働施策総合推進法によって定められています。しかし、例外的に認められているケースがあり、新卒採用はその1つです。長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合は年齢制限を行うことができます。例外事由は、以下のようになっています。

・定年年齢を上限として、上限年齢未満の労働者を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合(例外事由1号)

・労働基準法など、その他の法令の規定で年齢制限がある場合(例外事由2号)
例/18歳以上(危険有害業務、警備業務、22時〜翌朝5時までの深夜勤務がある業務など)

・長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合(例外事由3号イ)
例/新卒採用

・技能・ノウハウの継承の観点から、特定の職種において労働者数が相当程度少ない特定の年齢層に限定し、かつ、期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合(例外事由3号ロ)

・芸術・芸能の分野における表現の真実性等の要請がある場合(例外事由3号ハ)
例/12歳以下の子役募集

・60歳以上の高年齢者、就職氷河期世代(昭和43年4月2日から昭和63年4月1日までに生まれた者)または特定の年齢層の雇用を促進する施策(国の施策を活用しようとする場合に限る)の対象となる者に限定して募集・採用する場合(例外事由3号二)





Q.入社前に自由参加の研修を実施しています。内容は、業務に役立つ知識を学んでもらうもので賃金は支払っていません。受講すれば人事考課でプラスの評価になります。自由参加の研修でも、賃金を支払わなければいけないのでしょうか?

A.業務に役立つ知識を学ぶ研修で、受講したら人事考課でプラスの評価をするとなると、社員は参加せざるを得ないと考えられます。よって賃金を支払わなければなりません。

 研修時に「賃金が発生するかどうか?」は、その研修が「労働時間にあたるどうか?」で判断します。会社で自由参加としていても、自分の業務と関係していたり、人事考課に影響したりすれば、社員は参加せざる得ないので労働時間になります。研修が「労働時間にあたるかどうか」の判断基準は下記の通りです。

・参加が強制されているか?
・自分の業務と関係しているか?
・場所や時間が拘束されるか?

 労働時間とは、労働者が使用者(企業)の指揮命令下で働く時間のことを指します。 企業が就業規則や雇用契約書で定義することはできず、客観的にみたときに「使用者の指揮命令下にある」と判断されれば労働時間となり、賃金の支払い義務が発生します。また、指揮命令は明示のものだけではなく、黙示の指示(黙認)も含まれます。質問のように、自由参加の研修でも人事考課に影響したり、業務に関係していたりすれば参加を強いていることになり、労働時間にあたります。

<例>労働時間にあたるもの
・新人の研修期間
・昼休み中の電話番や来客当番
・タクシー運転手が客待ちをしている時間
・使用者が店員に勤務時間中、客の途切れたときなどに休憩してよいとした時間
・強制参加の研修時間(社外研修含む)



●文/三宅航太(みやけ こおた)
株式会社アイデム東日本事業本部 データリサーチチーム所属。
大学卒業後、出版社に入社。書店営業部を経て、編集部に異動。書籍の企画・制作・進行・ライティングなど、編集業務全般に従事する。同社を退社後、フリーランス編集者、編集プロダクション勤務を経て、株式会社アイデム入社。同社がWebサイトで発信する人の「採用・定着・戦力化」に関するコンテンツの企画・編集業務を担う。働き方に関するニュースの考察や労働法の解説、取材、企業事例など、さまざまな記事コンテンツを作成している。
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