女性版骨太の方針2025
先日、「女性版骨太の方針2025」が閣議決定されました。女性の社会進出と男女共同参画を推進するための具体的な施策を示した政府の重点方針です。ここでは、女性が活躍できる環境を整備し、性別に関係なく全ての人が自分らしく生きられる社会の実現を目指しています。
今回の方針のキーワードは「地域」です。地方では女性や若者が大都市に流入していくために、地域の活力低下が問題になっています。そういった課題に対して、地方の女性の起業支援や中小企業での管理職登用を促進するなど、女性に選ばれ、女性が活躍できる地域づくりの実現を支援することなどが盛り込まれています。
お茶くみ!? 親からの結婚プレッシャー!? 地方出身者の大変さ
確かに人口の流出は大きな社会問題ではありますが、私がこの方針に触れた最初の感想は「『地域』と言わずに、日本全体のこととして推進すればいいのに」ということ。しかし、「女性版骨太の方針2025」の基盤となるデータ提供をしている「令和7年版男女共同参画白書」を見ると、興味深いことがわかりました。ここでは、18〜39歳の男女から「地域」がどう見えているのかが、まとめられています。
例えば、18〜39歳の男女が出身地域を離れた理由は、「希望する進学先が少なかったから」が最も高く、次いで「やりたい仕事や就職先が少なかったから」となっています。さらに女性では、3位、4位と「地元から離れたかったから」、「親や周囲の人の干渉から逃れたかったから」が理由に挙げられており、これらは男性よりも大幅に回答割合が高くなっていました。
また、特に地方においては、固定的な性別役割分担意識やアンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み)が根強くある様子もうかがえます。若年層に、出身地域に固定的な性別役割分担意識等が「あった」と感じている者の割合をみると、男女ともに、ほとんどの項目で東京圏出身者が最も低くなっていました。また、多くの地域・項目で男性よりも女性の回答割合が高くなっており、とりわけ女性の方が固定的な性別役割分担意識を感じる機会が多かったことがうかがえます。
家庭や職場での役割について、「性別役割分担意識等があったと感じているかどうか」を聞いた結果を地域別にみてみます。設問は「中学校卒業時点であなたが住んでいた地域で、下記のようなことはありましたか。最も当てはまるものをお選びください。(それぞれ1つずつ)」です。選択肢は「よくあった」「時々あった」「あまりなかった」「全くなかった」「わからない」。このうち、「よくあった」と「時々あった」の計が棒グラフに表になっています(グラフの出典:令和7年版男女共同参画白書)。


(お茶は、飲みたい人が飲みたいときに自分で入れましょう!の一言に尽きます。女性の仕事としてサポート業務が挙がるのは「その仕事しかできない」状況に陥っているからではないでしょうか。育児・家事負担が未だ女性に重くのしかかっている状況では、本意・不本意でもサポート業務を選択せざるを得ない状況がありそうです)
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●文/古橋孝美(ふるはし たかみ)
2007年、株式会社アイデム入社。メディアソリューション事業本部データリサーチチーム所属。求人広告の営業職として、企業の人事・採用担当者に採用活動の提案を行う。2008年、同社人と仕事研究所に異動し、企業と労働者への実態調査である『パートタイマー白書』の企画・調査・発行を手がける。2012年、新卒採用・就職活動に関する調査プロジェクトを立ち上げ、年間約15本の調査の企画・進行管理を行う。2度の産休・育休を経て復職。子育て施策や女性活躍に関心があり、休職中に独学で保育士資格を取得。現在は、雇用の現状や今後の課題について調査を進めるとともに、Webサイトのコンテンツのライティング、顧客向け法律情報資料などの作成・編集業務も行っている。