7月、厚生労働省はスポットワークに関する注意事項をまとめたリーフレットを公開しました。事業主と労働者に向けたもので、背景にはスポットワークで働く人たちからのトラブル相談が相次いでいることがあります。
スポットワークとは短時間・単発の仕事で、スキマバイトとも呼ばれています。企業と労働者が継続した雇用関係を結ばない働き方で、2010年代後半から仲介事業者によるサービス提供が広がり、コロナ禍を機に急増しました。人材難が深刻化している飲食業や宿泊業などで活用が進む一方、当初から法的にあいまいな部分が指摘されていました。
厚労省のリーフレットをもとに、事業主がスポットワークを利用するときの主な注意点をQ&Aで解説していきます。
※スポットワークには、さまざまな形態があります。厚労省のリーフレットでは、スポットワークの仲介事業者が提供するアプリを利用してマッチングや賃金の立替払いを行うものを対象にしています。
Q.誰と誰が、労働契約を結ぶの?
A.スポットワークは、求人を出した事業主とスポットワーカーが直接労働契約を締結します。スポットワーカーとスポットワーク仲介事業者が結ぶものではありません。
(図は厚労省のリーフレットから抜粋)
Q.労働契約は、いつ成立するの?
A.厚労省の見解は、求職者がスポットワークのアプリで求人に応募した時点で成立するというものです。面接等を経ることなく先着順で就労が決定する求人では、別途特段の合意がなければ、事業主が掲載した求人に労働者が応募した時点で労使双方の合意があったものとして「労働契約が成立する」と考えられる、としています 。
Q.労働条件は明示しなければいけないの?
A.労働契約が成立すると、事業主には労働基準法等を守る義務が生じます。予定された就業開始前に、事業主はスポットワーカーに対して労働条件を明示する義務があります。明示しなかったら、労働基準法違反となります。また、労働条件通知書の交付はスポットワーク仲介事業者が代行してくれる場合もありますが、交付は事業主の義務です。きちんと交付されているか、確認しましょう。
Q.休業や早上がりをさせることになったら?
A.労働契約成立後、事業主の都合で丸1日の休業または仕事の早上がりをさせることになった場合、労働基準法第26条の「使用者の責に帰すべき事由による休業」にあたります。事業主はスポットワーカーに休業手当を支払う必要があります。休業手当の代わりに、その日に約束した賃金を全額支払うことで問題ありません。
Q.着替えの時間は、労働時間に含まれるの?
A.事業主の指示で、就業を命じた業務に必要な準備行為(着替え等)や業務終了後に業務関連の後始末(掃除等)を就業先内で行った時間は、労働時間になります。求人の際は、着替え等の時間も含めて始業・終業時刻を設定しましょう。なお、事業主の指示で待機を命じた時間も労働時間になります。その時間も理由にかかわらず、賃金を支払う必要があります。
Q.通勤途中にケガをしたら?
A.スポットワーカーが通勤の途中または仕事中にケガをした場合、就労先の事業について成立する保険関係に基づき労災保険給付を受けることができます(労働者災害補償保険法第7条等)。なお、労災保険料は事業主の負担です。
※参考サイト
●文/三宅航太
株式会社アイデム メディアソリューション事業本部 データリサーチチーム所属。
大学卒業後、出版社に入社。書店営業部を経て、編集部に異動。書籍の企画・制作・進行・ライティングなど、編集業務全般に従事する。同社を退社後、フリーランス編集者、編集プロダクション勤務を経て、株式会社アイデム入社。同社がWebサイトで発信する人の「採用・定着・戦力化」に関するコンテンツの企画・編集業務を担う。働き方に関するニュースの考察や労働法の解説、取材、企業事例など、さまざまな記事コンテンツを作成している。