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事例で考える困ったときのマネジメント対応/山田真由子

第29回「職場で感染症対策を怠るようになったベテラン看護師」

働き方や価値観が多様化する中、マネジメントは個別対応が求められています。さまざまな事例から、マネジャーに求められる対応を解説します。(2026年8月6日)

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 頭では安全管理をしなければいけないと理解していても、確認してもほとんど一般患者なので「確認を省略してもいいのでは?」と思ったり、仮に感染症患者でも「後回しにせずにすぐに対応したほうが効率的では?」と思ったりするようになり、体も自然にそのように動くようになります。つまり、本来は確認をするべき場面でも、そうした慣れによって判断そのものが省略され、無意識のうちに効率優先の行動が選ばれてしまうのです。

 Aさんは、これまでの経緯や自分の経験などから総合的に判断していることが考えられ、感染症対策を軽視しているつもりはないのかもしれません。しかし、このような行動こそが、安全ルールの逸脱につながります。





ルールが守られ続ける仕組みづくり

 
管理者はルール違反を注意するだけでなく、「なぜ、その行動が起きたのか?」という原因に目を向け、定期的な教育や振り返りを通じて、安全行動を意識的に実践できる状態を維持することが重要です。このような状態は、経験豊富な職員ほど起こりやすい傾向があります。感染症対策の研修を定期的に実施するだけでなく、実際の感染事例やヒヤリ・ハット事例を共有し、「なぜ、このルールが必要なのか?」を繰り返し確認することが重要です。

 また、ベテラン職員には、「後輩はあなたの行動を見て学んでいる」ということを伝え、職場の模範となる役割を期待していることを丁寧に伝えることも効果的です。

 安全管理において最も怖いのは、「慣れ」によって危険を感じなくなることです。管理者はルール違反を注意するだけではなく、ルールが守られ続ける仕組みをつくり、定期的な教育や振り返りを行うことで、安全意識を維持する必要があります。「これくらいなら大丈夫」という小さな気の緩みを見逃さないことが、患者と職員の命を守ることにつながります。



●文/山田真由子(やまだ まゆこ)
山田真由子社会保険労務士事務所代表。特定社会保険労務士、公認心理師、キャリアコンサルタント。26歳のときに3度目の受験で社会保険労務士に合格。さまざまな業種にわたり、約15年のOL 生活を経て、2006年12月に独立開業。現在、「誰もが輝く職場づくりをサポートする」をミッションとして活動している。経営者や総務部担当者などから受けた相談件数は延べ10,000件以上、セミナー登壇は1,500回以上を数える。著書に『外国人労働者の雇い方完全マニュアル』(C&R研究所)、『会社で泣き寝入りしないハラスメント防衛マニュアル部長、それってパワハラですよ』(徳間書店)、『すぐに使える!はじめて上司の対応ツール』(税務経理協会)。
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