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実務で役立つ労働法/田代英治

第8回「無期転換ルール、適用後に備える」

労働関連法で実務に直結した部分をクローズアップし、分かりにくい点や対応策などを解説します。

 来る2018年4月1日、無期転換ルールの適用が迫っています。そんな中、今回は社内で整備しておく必要のある重要事項で特に注意すべき点について、まとめてみました。

 

<無期転換ルールの概要>
 無期転換ルールとは、同一の使用者(会社)との間で、有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合、有期労働契約者(契約社員、パートタイマーなど)からの申し込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できるルールで、会社サイドは拒否できません。

 

 有期労働契約者が、このルールにより無期労働契約となった場合、別段の定めがない限り、労働条件は直前の有期労働契約(契約期間を除く)と同一になります(「別段の定め」とは就業規則等のことを指します)。

 

 

 

 

 

<転換後の備え>

・会社サイドとしては、転換後の役割、業務内容、配置、賃金等を見直すのか否かを判断する必要があります。無期転換後の労働条件を変更するのであれば、あらかじめ「無期転換者用の就業規則等」を定め、従業員に説明するなど事前の準備が重要です。

 

・また、ルールの対象者ですが、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律により、60歳以上の定年後も有期労働契約で雇用される人も対象です。何らの対応も取らない場合、例えば60歳定年後の再雇用者が65歳を超えて雇用される場合、本人の申し出により無期労働契約に転換されることになります。

 

 

 ただし、2015年4月1日に特例措置が施行(「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置」)され、一定の手続きにより、高度な専門的知識などを持つ有期労働契約者と、定年後引き続き雇用される有期労働契約者を対象外とすることができます。

 

 60歳以上の定年後も引き続き雇用される有期労働契約者については、事業主(会社)が「第二種計画」について厚生労働大臣の認定を受けることで、無期転換の申し込み権が発生しなくなります。

 

 この認定は、継続雇用者に無期転換権が発生するまでの間に届け出が必要です。適用開始(2018年4月1日)直前は、届け出が殺到することも予想され、早めの行動が有効です。

 

 


 

 

 

●文/田代英治(たしろ えいじ)
社会保険労務士。株式会社田代コンサルティング代表取締役。神戸大学経営学部卒。企業の人事制度の構築や運用、人材教育などに取り組む。著書に「人事部ガイド」(労働開発研究会)、専門誌への寄稿など執筆実績多数。
http://tashiro-sr.com/

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