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人事評価制度は運用が難しかったり、形骸化するなど、機能させるのは簡単ではありません。本コーナーは、実際の運用を念頭に置いた制度作りをゼロから解説します。(2018年10月10日)
私が10年近く人事評価制度の設計に関わる中で、多くのクライアントからよく聞く言葉は「評価制度はあるけど煩雑で…」、「評価しているが、従業員のモチベーションは上がらない」、「評価制度や規程はあるけど、運用せずにそのまま」です。また、評価制度を導入する主な動機は「公平な制度にしたい」「がんばる従業員に報いたい」ですが、それが果たして会社の風土に合っているのか、は疑問です。
成果主義、能力主義をベースにするなど、さまざまな評価制度があります。どれも複雑な仕組みで、運用に相当の時間と、評価者の能力を必要とするものが多いと思います。これは、「公平」にこだわり過ぎていることが原因であると、私は考えています。
透明でなければ評価制度ではない
人事評価制度の最終目的は、人を評価して賃金に反映することだと思います。評価され、昇進し、賃金が上がっていくことは多くの従業員にとって良いことだと思います。
しかし、本当に公平な評価をしているのでしょうか。公平に評価することは大切ですが、主観が入ることはないのでしょうか。私の個人的な見解では難しいような気がします。また、人事の現場でよく見るのは、「公平」にこだわり過ぎて、制度構築半ばで終わっているケースです。
確かに、「公平」に越したことはありません。ただ、それよりも「透明」にするほうがよいのではないでしょうか。知らないところで、知らない基準で評価され、しかも人によって手当の額が違う。このように不透明で、説明不足なことはありません。
では、透明とは一体どういうことなのでしょうか。方法は簡単です。はじめにルールを公表します。賃金の配分方法やその配分率、評価に対する処遇、また評価基準とその評価に対する理由などです。この部分を、意外とおろそかにしているケースが見受けられます。特に評価基準とその評価に対する理由を公表することで、人材育成に生かすこともできます。当たり前のようですが、透明(公表)にすることが重要なのです。
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●文/真田直和(さなだ なおかず)
特定社会保険労務士、人事労務コンサルタント。
1973年大阪府生まれ。近畿大卒。大手社労士法人勤務を経て独立。これまで企業の人事労務に関する、さまざまな問題解決やコンサルティング業務に携わる。著書に「中小企業の人事制度・考課制度設計コンサルティング」「続 中小企業の人事制度・考課制度設計コンサルティング」(ともに明日香出版社刊)。企業・団体への研修、講演実績多数。
http://www.nsanada-sr.jp
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