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「人が定着しない」と言われる物流業界。株式会社オーティーエスでも、人材の流出に悩んだ。しかし、定着なくして、人材の教育・育成はありえない。そこで同社では経営戦略を根本から刷新し、「人を育てて、高付加価値の物流」を実現。成功までの苦難の道のりと、教育に関する考え方を聞いた(取材・文・写真/アイデム人と仕事研究所 所長 平田未緒)
決算賞与まで出したのに、なぜ辞める?
「社員教育と、評価制度には、こだわっています。人材育成において、成果が出ているのを感じます」
東京都江戸川区に本社を置く物流企業、株式会社オーティーエスの代表取締役社長田中優一郎さん(写真)は、冒頭からこう、言い切った。
半面、先代社長から経営を引き継いだ6年前を振り返り、こうも話す。
「中堅どころがある日突然、ずぼっと抜けていくんです。利益を上げ、決算賞与まで出しているのに、どうして今、退職なんだ? と、ものすごく悩みました」
今、同社の離職率は激減している。一方業績も、2008年秋のリーマン・ショックの影響により一時は社員の給与カットを余儀なくされるほど落ちたものの、「今年中にはカット分の埋め合わせが100%できる」ほどに回復している。
この間、同社の体質は、明らかに変化した。正確には「変化させ」た。10年前と、利益が出ていることに変わりはないが、その中身を変えたのだ。
「絞り込み」で、高付加価値創造業へ
他の多くの業界同様に、物流業界も値引き合戦が激しい。また、その業務内容が荷物の搬入、仕分け、発送など労働集約的であるだけに、値引きのしわ寄せは結局、「人」に行くこととなる。身を削って行う値引き先は、ボランティア。これでは経営は成り立たない。
「苦悩のなかで、思い至りました。働く人のプライドを、ないがしろにしてきたのではないか、と。社員は経営者とは違う。忙しすぎては、モチベーションは上がらないのです」
では、どうするか。田中さんは、経営戦略から見直した。
同社の経営理念「お客様に喜ばれ、働く人たちが喜びを感じ、いつまでも社会に貢献し続ける企業であること」を実現するために薄利多売と決別。他社の追随を許さないくらいに付加価値を高めることで“値引きせずに、お客さまから選んでいただく”方向に、大きくかじを切ったのだ。
「まずはお客さまを、ファッション関連の中堅・中小企業に絞りました。その代わり、それこそかゆいところに手が届くようなサービスメニューの提供に、徹底的にこだわりました」
田中さんは、実現のために必要な施策を一つひとつ、地道に実施していった。
管理職の評価「売上・利益」のウェイトを低く!?
その1つが、社員教育であり、評価制度だ。
「逆説的に聞こえるかもしれませんが、業績向上のため、管理職やリーダーの評価項目のうち、部門別の売上や利益に関するウェイトを下げました」
物流の場合、売上や利益の高低は、顧客の経営状態や、立地によるところが大きい。つまり、数字を注視していると、数字に直結しない努力や、モチベーションなどを見過ごしてしまう可能性がある。
代わりに重視したのが、リーダーシップとコミュニケーション。人をまとめ、巻き込んで、その能力を引き出しながら、経営理念を現場で実践していく力である。
「当社の社員構成は、パディと呼んでいるパートタイマーと、正社員の割合が8対2です。つまり日々の現場の生産性は、パディさんにどう働いてもらうかで、決まってきます。だから評価も『いかに残業させることなく、その日の業務を終えられたか』や、部下やパディさんへの影響力を見るために、多面評価も取り入れました。例えば一般社員さんに、自分のリーダーについて、『何かを決める際、お客さまのことを考え、部下の意見を聴いた上で判断していますか』等の項目で、評価してもらうことにしたのです」
売上や利益に関しては、「売上に対する人件費率」を毎日周知し、業務効率化を促す形で、意識させている。
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所在地/東京都江戸川区南葛西5丁目16番1号
設立/1986年
従業員数/正社員100人、契約社員20人、パート・アルバイト等400人
資本金/6000万円
年商/20億7200万円(2011年9月期)
事業内容/ファッション物流に関する一切の業務
ホームページ/http://www.e-ots.jp
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