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これからの人材活用(2012年4月〜2013年3月)

第9回 事例研究/外国人との信頼と協働〜震災・原発の風評被害を乗り越える〜(ブリティッシュヒルズ)

 語学研修とリゾートホテルの複合型施設「ブリティッシュヒルズ」は、約100人いる社員の3分の1が、イギリス人か英連邦出身の外国人です。その彼らが、東北新幹線新白河駅から車で約40分、海抜約1000メートルの同所で、被災しました。
 3月末までの営業停止を決め、全員に「営業停止中は、母国への帰国も自由」と伝えました。ところが4月。世界中に報道された「フクシマ」に、誰一人欠けることなく全員、戻ってきてくれたのです。
 なぜ彼らは帰ってきたのでしょう。労働力不足時代を控え、雇用のボーダレス化が言われるなか、ブリティッシュヒルズの実例には、近い将来に向けたマネジメントのヒントがありました(取材・文・写真/人と仕事研究所 所長 平田未緒)。

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  東京電力福島第一原子力発電所から、西南西へ約90キロ。2011年3月11日の震災では、震度5強の揺れを観測した福島県の山中に、語学研修とリゾートホテルの複合型施設「ブリティッシュヒルズ」はあります。

 コンセプトは、“パスポートのいらない英国”。施設内では、チェック・インからチェック・アウトまでの滞在中、すべて英語でサービスできるようになっています。実際、約100人いる社員の3分の1は、イギリス人か英連邦出身の外国人です。

 その彼らが、東北新幹線新白河駅から車で約40分、海抜約1000メートルの同所で、被災しました。

 突然の大きな揺れ。停電し、暖も取れず、しかも一時はがけ崩れにより「陸の孤島」化。代表取締役社長の川島和人さん(写真)は3月末までの営業停止を決め、母国のインターネットサイトで原発事故の報道を食い入るように見る外国人らスタッフ全員に、「営業停止中は、施設内に留まるも、母国への帰国も含め施設外に出るも自由」と伝えました。

 そして4月。川島さんにとって、驚くべきことが起こりました。誰一人欠けることなく全員、ブリティッシュヒルズに、戻ってきてくれたのです。

 海外メディアでは、まるで日本全体が汚染されたかのような報道もされました。実際、自国に帰る外国人が相次ぎ、また「西へ西へ」と避難した日本人も少なからずいました。

 そんななか「フクシマ」に、なぜ彼らは帰ってきたのでしょう。

 労働力不足時代を控え、今後は雇用のボーダレス化が言われています。ブリティッシュヒルズの実例には、そんな近い将来に向けた、マネジメントのヒントがあるのではないか・・・そんな思いで取材しました。


フクシマ山中の「英国」に、外国人全員が帰ってきた
 
ブリティッシュヒルズは、宿泊体験型国際研修センター兼リゾートホテル。福島県の羽鳥湖湖畔、山を越え、たどり着いた先に、「突然現れる英国」だ。

 出迎えるスタッフは、到着したお客さまに「hello!」とにっこり笑い掛け、レセプション・デスク(写真・左)では「入国手続き」に似た書式を使って宿泊登録。

  また、施設内では、手持ちの円を専用通貨「ブリティッシュヒルズポンド」に両替し、買い物をする。

 「神田外語大学などを運営する学校法人佐野学園の初代理事長が、『留学せずとも、英語漬けになり、本物の英国を体験できる場所を国内に』との想いで着想し、3代に渡って構想を練り、創り上げました」と、同社代表取締役社長の川島和人さん。

 7万3000坪という、森の中の広大な敷地に、中世英国の街が再現され、さまざまな年代様式の建物が立ち並ぶ。特に、中世城郭のイメージを持つライムストーン造りのマナーハウス(荘園領主の屋敷/写真・下)は、圧巻だ。

  「ハード面でのこだわりは、相当なものだと思います。その分、ソフト面、つまり外国人をメインに、日本人が黒子となりながら、英国流のマナーに基づく温かなサービスをいかに提供できるか、がより一層大事だと考えました」と川島さんは振り返る。

 しかも来訪者はブリティッシュヒルズに、「語学研修施設」、「英国を満喫する場」のみならず、高級リゾートホテルとしてのサービスも期待する。

 この期待を「超える」ような、外国人と日本人が共に協力して、お客さまに最良のサービスができるような、環境づくりでありマネジメント。

 これを、模索し、極めた結果が、「震災後、原発の風評にさらされるブリティッシュヒルズへの全員帰還」という形で、表れた。


公平な情報提供・透明な情報開示

 では、具体的には、どのようなマネジメントを行ったのか。

 ちなみに同社の外国人スタッフ約30人のうち、半分が英語教師、残りの半分がサービス・スタッフだ。

 「一番大事なのは、公平な情報提供であり、透明な情報開示だと思います。施設内でのスタッフ同士の日常会話は、日本人同士なら日本語ですが、外国人が混じれば英語になります。しかし当社は、日本企業です。会社の方針やその他あらゆる連絡において、どうしても外国人には、理解にハンディが伴います。そこを、発信側の工夫で、どう解消するか、がポイントです」

 例えば、会社の文書通達等は、必ず日本語と英語の2パターンを作成し、同時に開示する。正しい情報を、常に公平に届けることで、安心して働いてもらうことが大切だ。

 疑心暗鬼になっていて、良いサービスは生まれない。日本人に不審を抱きながら、日本人との協力・連携など、無理である。

「もちろん、外国人に迎合的になるというわけではありません。外国人は、日本人に比べ主張が強く、権利意識も高いです。白黒ハッキリさせたがる傾向もあります。だから、注意していないと、逆に外国人の要求ばかりに応えることとなり、日本人への逆差別となりかねません」

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株式会社ブリティッシュ・ヒルズ (英語名:British Hills Co. Ltd.)
所在地(本社)/東京都千代田区内神田2-13-9 
   (現地)/福島県岩瀬郡天栄村大字田良尾字芝草1-8
設立/2002年3月1日(施設の営業開始は1994年)
従業員数/正社員62人(うち外国人2人)、契約社員36人(うち外国人27人)、パート等1人
資本金/8千万円
事業内容/語学および異文化の宿泊型体験研修事業、高級リゾートホテル事業
ホームページ/http://www.british-hills.co.jp/

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