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これからの人材活用(2012年4月〜2013年3月)

第10回 事例研究/雇用形態にかかわらず「役割に応じた本給」に〜セール後倒し“戦略”成功への裏側〜(三越伊勢丹)

冬のクリアランスセールを、開店初日から行わなかった三越伊勢丹。競合他社と足並みをそろえず「お客さまのご期待以上のことを実現し感動を与える」「百貨店の本来あるべき姿」を目指すことで、集客を図ります。でも、どんな理想も、働く社員の一人ひとりがしっかり役割を果たさずに、実現などできません。結果を左右するのは、そこで働く人なのです。では同社は、人材力向上のため、いったい何を行っているのか・・・人事制度と教育の両面からうかがいました(取材・文・写真/人と仕事研究所 所長 平田未緒)。

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 2013年1月19日、土曜日の14時半。三越銀座店は、買い物客でむせかえるようでした。上りエスカレーターには、乗る「列」ができるほどの混雑です。

 同日の夜19時過ぎ。伊勢丹新宿本店に足を運んでみると、やはり多くの女性客らが、まだまださかんに売り場を回っています。すでに夕食時間帯、にもかかわらず。

 実はこの日は、三越伊勢丹が行う冬のクリアランスセールがスタートして、2日目でした。昨年までは、新年の開店初日から行っていたものを、今年は2週間後倒しにしたのです。

 セールの「後倒し」は、季節に応じた適正な品揃えとするための、昨年の夏に続くもの。しかし、夏には同調していた競合他店は、「セールの分散がお客さまへの『分かりにくさ』となり、惨憺たる結果に終わった」ことから、冬はセールの開始を「初売り初日」に戻しました。

 そんななか三越伊勢丹だけが、「初売福袋とセール、それぞれをお求めのお客さまがバッティングし混雑して、お客さまにご迷惑をおかけするのを避けるため」、後倒しを続けたのです。

 競合他社と足並みをそろえずに、「お客さまのご期待以上のことを実現し感動を与える」「百貨店の本来あるべき姿」を目指すことで、集客を図る三越伊勢丹。結果を左右するのは、そこで働く人たちです。
 「クオリティの高い、他では買えない商品を仕入れる」ことも、それを「丁寧に説明し、お買い上げいただく」ことも、社員一人ひとりがしっかり役割を果たさなければ、実現はできません。

 そこで今回は、そんな同社が人材力向上のため、いったい何を行っているのかを、株式会社三越伊勢丹ホールディングスの経営戦略本部人事部人事企画担当マネージャー、西久保剛志さん(写真)にうかがいます。

 また、その社員教育について、株式会社三越伊勢丹ヒューマン・ソリューションズの、キャリアデザイン事業部教育グループグループ長、森礼(もり れい)さんにおうかがいしました。

契約社員にも「役割成果主義」、4年で「無期契約化」
 
 「当社の人事賃金制度は『役割成果主義』です。役割は職務に付与される責任の大きさ、成果は役割の遂行により実現され、企業価値の向上につながる貢献度のことです」と、西久保さん。

 この役割と成果に応じ、本給も賞与も、退職金も、決まってくる。年齢や勤続など、属人的な要素は給与に影響しない。

 「若いうちから段階的に、責任のある役割を与えます。その役割において、成果をあげられれば、年収が増加 する仕組みです。若いうちから意識して、個々人の仕事のレベルを上げていくことで、リーダーやチーフ、アシスタントマネージャーなどへの登用を早められます。これが、次代を担う計画的人材育成につながっています。同時に、人材の新陳代謝をうながし、組織も活性化させる仕組みです」

 役割成果主義の徹底度は極めて高い。いわゆる学卒入社の「社員」のみならず、有期雇用契約で入社してくる「メイト社員」の本給も、ほぼこれに準じている。つまり、リーダーやサブリーダー、チーフなどの役職に就くメイト社員の本給は、同等の役職に就く学卒「社員」の本給と変わらない。

 しかも同社では、有期雇用契約で入社したメイト社員全員を、4年目以降、無期契約に移行している。改正労働契約法の施行により、2013年4月以降、有期契約で5年勤めた社員については、本人の希望により無期契約にする必要が出てくるが、この法改正以上のことを、法改正以前から、すでに継続しているのだ。
 
 「完全に、法改正を先取りした格好です。もちろん、無期化は意図的に行っています。『こうした方が絶対にいい』という、確信があり、結果が出ているから、続けているのです」と西久保さん。

 役割成果主義の徹底も、有期契約社員の無期契約化も、目的は「お客さま」。三越伊勢丹が、「百貨店の本来あるべき姿」を体現し、「お客さまのご期待以上のことを実現し感動を与える」ためである。

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株式会社三越伊勢丹
所在地(本社)/東京都新宿区新宿三丁目14番1号
設立(統合)/2011年<三越/創業1673年、伊勢丹/創業1886年>
従業員数/1万1.959人(2012年4月現在)
売上高/6.378億円(2012年3月期)
資本金/100億円
事業内容/百貨店業
ホームページ
/三越
http://www.mitsukoshi.co.jp/、伊勢丹http://www.isetan.co.jp/

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