対処法は2つある
現場で働くスタッフのタイプは十人十色。性格、特徴、価値観は1人ひとり異なります。一を聞いて十を知るスタッフがいれば、何度言っても何1つ分かってくれなかったり、ミスを繰り返すような、マネジメントを行う上で手の掛かるスタッフもいます。
今月から始まる連載では、職場によくいる問題児となるスタッフをタイプ別に分け、どのようにマネジメントしていけば効果的なのか、具体的な対応方法をご紹介します。
第1回は「無反応なタイプ」です。

春になると、新入社員やアルバイト、パートなど、新しいスタッフが職場に入ってきます。配属後、現場ではOJT教育がスタートしますが、無反応なタイプがいると、教える側としてはストレスが溜まります。何を言っても、うなづいたり、返事をしたり、表情や態度を変えたりすることがないので、「教えたことを理解しているのかどうか」が分からないので、やりにくさを感じます。無反応なタイプへの対処法は2つあります。
反応することを教える
1つは、「反応することを教える」です。
私が人材育成に関わっている企業での研修のこと。演習ワークのやり方を説明したあと、「分かりましたか?」と尋ねたのですが、受講生の誰からも「YES、NO」の返事がありませんでした。説明を真面目に聞いているようでしたが、コロナ禍中でしたので、マスクをつけて参加しているので、表情はほとんど分かりません。彼、彼女たちに「伝わっているのかどうか」が判断できませんでした。
そこで、「リアクションをしてくれないと、みなさんが理解しているのかどうか分からない」と伝え、もう一度、理解しているのか否か、尋ねたところ、全員が「はい」と返事をしてきました。別の研修会でも同じようなことが幾度となくありました。
その後、受講生に対して、「相手が何かを伝えた際に、うなづく、返事をする、メモを取るなど反応することは相手への心遣いである」「無反応であるのは、相手に対して失礼なことである」「心の中で返事をしていたとしても、言葉や態度で表面から見えるようにリアクションをしなければ、相手には通じない」と伝えました。また、現場でお客さまへ対応する際に無反応に見えてしまうと、気分を害されてクレームにつながる可能性もある、と教えました。それからは、分かりやすく反応をするようになりました。
「そんなことまで教えなければいけないのか?」と思われるかもしれませんが、これが現実です。反応が薄い(無反応)スタッフへは、反応することの大切さを教えましょう。
●文/岡本文宏(おかもと ふみひろ)
メンタルチャージISC研究所株式会社代表取締役、繁盛企業育成コーチ
アパレル店勤務、セブンイレブンFC店経営を経て、2005年メンタルチャージISC研究所を設立。中小企業経営者、エリアチェーンオーナー、店長などに向けた小さな組織の人に関する問題解決メソッドや、スタッフを活用して業績アップを実現する『繁盛店づくり』のノウハウを提供している。『人材マネジメント一問一答』(商業界)、『店長の一流、二流、三流』(明日香出版)、『繁盛店のやる気の育て方』(女性モード社)など著書多数。
https://okamotofumihiro.com/