ちょっと気を付ければ防げる失敗や不注意による間違いなど、ケアレスミスが多いスタッフがいると、ミスが起こるたびに指摘して修正しなければなりません。そうなると、業務が思ったように進まず、関わるスタッフ全員がストレスを感じます。
ただ、ミスの多いスタッフを強い口調で叱責しても効果はありません。逆に、優しい口調で「次からは気をつけてね」と伝えたり、反省文を提出させたりしても表面的な謝罪の言葉を並べるだけではミスはなくなりません。「なぜ、ケアレスミスが起こるのか?」、その原因を突き止めることが大切です。
仕事を抱えすぎてキャパオーバーになっている
ストレージの残容量が2%を切ったパソコンを使ったことがあります。少し作業をするとすぐにフリーズし、文字変換さえもスムーズに行えないという状態でした。人間の脳も、限界に近い状態になるまで情報を詰め込むと、パソコンでいうところの作業領域が確保されず、うまく機能しなくなります。
必要なのは、抱えている仕事量を見直すことです。頼まれたことについて、なんでも「YES」と答えて対応しようとしていたり、依頼された仕事をすべて、自分一人で片付けようとする様子がうかがえた場合は、「STOP」を掛けるようにしてください。その状況を放置していると、ストレス過多となるので脳疲労を起こします。結果、ケアレスミスが続くことになります。そうならないために、抱えている業務の棚卸しをして、キャパオーバーになっていないかどうか確認しましょう。
業務の優先順位づけができていない
同時に複数のタスクをこなさなければならない場合、スケジュール管理がうまくできていないと、締め切りに追われることになります。そうなると、期限が迫っている業務が積み上がるので焦ります。時間がない中で、見直しがおろそかになってしまうので、間違いに気づくことができません。これが、ケアレスミスが発生する原因になるのです。
解消するには、「作業工程表」の活用がお薦めです。縦軸に各タスクの名称、横軸に日付を記入した表を作成し、スケジュール管理を行うように促しましょう。何をいつまでに仕上げなければならないのか、業務が重なり過ぎていないか、が一目瞭然になります。「作業工程表」を見ながら締め切りと重要度を考慮して、タスクに優先順位を付ければ、落ち着いて仕事に取り組めるようになるのでケアレスミスが防げます。
●文/岡本文宏(おかもと ふみひろ)
メンタルチャージISC研究所株式会社代表取締役、繁盛企業育成コーチ
アパレル店勤務、セブンイレブンFC店経営を経て、2005年メンタルチャージISC研究所を設立。中小企業経営者、エリアチェーンオーナー、店長などに向けた小さな組織の人に関する問題解決メソッドや、スタッフを活用して業績アップを実現する『繁盛店づくり』のノウハウを提供している。『人材マネジメント一問一答』(商業界)、『店長の一流、二流、三流』(明日香出版)、『繁盛店のやる気の育て方』(女性モード社)など著書多数。
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