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事例で考える困ったときのマネジメント対応/山田真由子

第10回「残業が多い部下」

働き方や価値観が多様化する中、マネジメントは個別対応が求められています。さまざまな事例から、マネジャーに求められる対応を解説します。(2025年1月21日)

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 仕事が忙しくなると、どうしても残業が増えがちです。しかし、残業が常態化している部下がいる場合、その背景にはさまざまな要因が隠れている可能性があります。過重労働を防ぐためには、マネジャーが適切に状況を把握し、効果的に対処することが求められます。今回は、残業が多い部下への対応事例をもとに、問題の根本原因を探る方法と、過重労働を防ぐための配慮ポイントをご紹介します。





■今回の事例
 課長のAさん(40代)は、営業部の管理職として5人の部下を率いています。その中でもBさん(30代)は真面目で責任感が強く、どの案件にも全力で取り組むタイプでたのもしいのですが、残業が多いことがネックです。残業が多いことを指摘すると「大丈夫です」と答えるだけで、問題に感じている様子はなさそうです。

 Bさんは他のメンバーに比べて多くの案件を抱えていることを自覚していますが、「これくらいはこなせる」と意欲を見せています。最近、Bさんの残業は月60時間を超える状況が続いており、会社からもなんとかするように言われています。Bさんの意欲を尊重したいこともあり、Aさんはどうすべきか、悩んでいます。


■解説
残業が多い理由を把握する方法

(1)定期的な面談で直接、話を聞く
 残業が多い理由を把握するには、まず本人から直接状況を聞くことが重要です。ただし、単に「なぜ残業しているの?」と聞くだけでは不十分です。以下のような質問を通じて、状況を掘り下げていきましょう。

<質問例>
「特に時間がかかっている作業は何ですか?」
「どのようなサポートがあれば、仕事を効率化できると思いますか?」


(2)残業の具体的な内容を把握する
 残業時間が「どの業務に費やされているのか?」を分析することも重要です。例えば、日々の業務記録やタスク管理ツールを活用し、残業時間が「特定の業務に集中しているのか?」あるいは「全体的に長時間化しているのか?」を確認します。


(3)他部署やチーム内の状況を確認する
 残業が個人の問題ではなく、チーム全体の業務量や他部署との連携の問題が影響していることもあります。「他部署からの依頼が増えていないか?」「チーム全体の役割分担が偏っていないか?」などを確認し、問題があれば見直しましょう。
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●文/山田真由子(やまだ まゆこ)
山田真由子社会保険労務士事務所代表。特定社会保険労務士、公認心理師、キャリアコンサルタント。26歳のときに3度目の受験で社会保険労務士に合格。さまざまな業種にわたり、約15年のOL 生活を経て、2006年12月に独立開業。現在、「誰もが輝く職場づくりをサポートする」をミッションとして活動している。経営者や総務部担当者などから受けた相談件数は延べ10,000件以上、セミナー登壇は1,500回以上を数える。著書に『外国人労働者の雇い方完全マニュアル』(C&R研究所)、『会社で泣き寝入りしないハラスメント防衛マニュアル部長、それってパワハラですよ』(徳間書店)、『すぐに使える!はじめて上司の対応ツール』(税務経理協会)。
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