43年前の人気企業ランキングは
私が大学を卒業し社会人になったのは、1982年です。時期的には第2次オイルショックの後半で、就職環境としては、どちらかというと厳しい状況だったのを覚えています。そのときの人気企業ランキング(文系)を振り返ってみましょう。
1. 三菱商事
2. 三井物産
3. 住友商事
4. 東京海上火災保険
5. 丸紅
6. サントリー
7. 伊藤忠商事
8. 日本電気
9. 日本興業銀行
10.安田火災海上保険
11.住友銀行
12.日本生命保険
13.日本放送協会
14.三和銀行
15.富士銀行
16.松下電器産業
17.日本長期信用銀行
18.電通
19.日本交通公社
20.三菱銀行
(人気企業ランキング文系 リクルート)
つまり、これらの企業が43年前の「ヒトがあつまる企業」だったわけです。
では、これらの企業が現在どういう状況か、見てみましょう。
1. 三菱商事
2. 三井物産
3. 住友商事
4. 東京海上火災保険 → 東京海上日動火災保険
5. 丸紅
6. サントリー
7. 伊藤忠商事
8. 日本電気
9. 日本興業銀行 → みずほ銀行
10.安田火災海上保険 → 損害保険ジャパン
11.住友銀行 → 三井住友銀行
12.日本生命保険
13.日本放送協会
14.三和銀行 → 三菱UFJ銀行
15.富士銀行 → みずほ銀行
16.松下電器産業 → パナソニック
17.日本長期信用銀行 → 経営破綻で消滅
18.電通
19.日本交通公社 → JTB
20.三菱銀行 → 三菱UFJ銀行
1982年には、都市銀行は13行ありましたが、今や3つのメガバンクとりそな銀行グループの4つに集約されています。保険業界も含め、金融全体の再編成が当たり前に行われてきたことがよく分かります。

その点、総合商社は、日商岩井とニチメンの合併(双日)などがありながらも、5大総合商社は変わらず上位に君臨しています。1980年に、松本清張さんの原作『空の城』がテレビドラマ化され、『ザ・商社』というタイトルで、大きな話題になり、総合商社のダイナミックな仕事ぶりが世間に知れ渡ることになったことも一因かもしれません。
当時の金融機関は、「安定」の象徴的な存在でした。まさか都市銀行が現在のような状況になるとは、当時のほとんどの人は予測できなかったでしょう。また、メーカーの中では安定企業として群を抜いていた電機メーカーや自動車メーカーが、激しいグローバル競争の中で、苦境に陥ることなども1982年の私には考えつきもしませんでした。
●文/田中和彦(たなか かずひこ)
株式会社プラネットファイブ代表取締役、人材コンサルタント/コンテンツプロデューサー。1958年、大分県生まれ。一橋大学社会学部卒業後、人材サービス関連企業に入社し、情報誌の編集長を歴任。その後、映画配給会社のプロデューサー、出版社代表取締役を経て、現在は、「企業の人材採用・教育研修・組織活性」などをテーマに、“今までに2万人以上の面接を行ってきた”人材コンサルタント兼コンテンツプロデューサーとして活躍中。新入社員研修、キャリアデザイン研修、管理職研修などの講師や講演は、年間100回以上。著書に、『課長の時間術』『課長の会話術』(日本実業出版社)、『あたりまえだけどなかなかできない42歳からのルール』(明日香出版社)、『時間に追われない39歳からの仕事術』(PHP文庫)、『仕事で眠れぬ夜に勇気をくれた言葉』(WAVE出版)など多数。
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