SNSは、個人の意見や不満を手軽に発信できます。手軽なだけに、SNSの取り扱いには注意が必要です。例えば、会社名を出さずに勤務先に対する意見を発信しても、投稿内容から会社名や関係者が特定されてしまう危険があります。
最近、ある病院の看護師が自分が勤める病院に関して、X(旧Twitter)で不適切な投稿をしていたことが話題になりました。投稿は匿名でしたが、病院名が特定され、その病院で調査委員会が立ち上がりました。その後、投稿した看護師は特定され、自宅待機となりました。もし、自社でこのような問題が起きた場合、どのように対処すべきか、事例を通して考察します。
■今回の事例
営業部で管理職をしているAさん(40代男性)は、部下のBさん(20代男性)が会社の批判をSNSに投稿していることを知りました。投稿内容は「うちの会社は現場を全く見ていない」「上は数字ばかりで人を大事にしない」といったもので、会社名は書かれていませんが、職種や地域、過去の内容から推測できるものでした。
Bさんの投稿は、社内でも「あれはうちのことではないか?」と話題になっていました。Aさんはすぐに注意したいところですが、まずは投稿の背景と影響を整理する必要があります。管理職であるAさんは、今回の事態をどのように考え、どう対応すべきでしょうか?
■解説
投稿内容を確認し、感情的に叱責しない
Aさんはまず、BさんがSNSに投稿した内容や公開範囲、会社への影響を把握する必要があります。また、実際に投稿されたものはスクリーンショットなどで記録を残しておきましょう。そして削除の必要があるか、本人への注意・指導で足りるか、懲戒処分を検討すべきかなどを段階的に判断します。
このとき重要なのは、会社への批判を好ましくないものとして一律に判断せず、「単なる不満や意見なのか?」「会社や個人が特定されるのか?」「事実と異なる内容が含まれているのか?」「名誉毀損や信用低下につながるのか?」「情報漏えいにあたるのか?」などの要素で整理することです。
投稿内容によっては、社内で調査委員会を立ち上げることも検討しましょう。ハラスメントや不正、長時間労働などの可能性が示唆される場合は、SNS対応だけにとどめず、事実関係を組織として確認する必要があります。関係者への聞き取りを行い、会社に問題があった場合は対応を検討しましょう。
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●文/山田真由子(やまだ まゆこ)
山田真由子社会保険労務士事務所代表。特定社会保険労務士、公認心理師、キャリアコンサルタント。26歳のときに3度目の受験で社会保険労務士に合格。さまざまな業種にわたり、約15年のOL 生活を経て、2006年12月に独立開業。現在、「誰もが輝く職場づくりをサポートする」をミッションとして活動している。経営者や総務部担当者などから受けた相談件数は延べ10,000件以上、セミナー登壇は1,500回以上を数える。著書に『外国人労働者の雇い方完全マニュアル』(C&R研究所)、『会社で泣き寝入りしないハラスメント防衛マニュアル部長、それってパワハラですよ』(徳間書店)、『すぐに使える!はじめて上司の対応ツール』(税務経理協会)。