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職場のメンタルヘルス/河田俊男

第40回「病んだチーム」

職場のメンタルヘルスに関する事例・対策などについて、専門家が解説します。

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 人間は1人では生きていけない。チームをつくる動物だ。チームなら食物を確保でき、敵から身を守れるからだ。だが、チームがうまく機能しなくなったらどうか。それは生存の危機になるかもしれない。



問題のあるチームリーダー


 彩矢は、菓子製造工場にパートで採用された。工場ではチームごとに生産内容や生産個数が違い、それぞれが効率化を目指していた。

 彩矢の配属されたチームは、最初から不思議な雰囲気だった。出勤時にあいさつをしても、誰も返事をしないのだ。作業内容も最低限のことしか教えてくれない。仕事中に質問は受けないと言われたが、入ったばかりの彩矢は知らないことだらけなので誰かに聞かざるをえない。すると怒鳴るような口調でまくしたてられた。メンバー全員がピリピリしている。彩矢は休憩時に仕事のことを聞こうとしたが、どのメンバーにも迷惑がられた。

 チームリーダーは経験豊富なパートの女性で、独裁者のように振る舞っていた。リーダーの機嫌が悪いとき、チームの雰囲気は最悪だ。新しいメンバーは仕事に慣れていないため、ミスが多い。その度にメンバーが大声で怒鳴るのだ。どのメンバーも余裕がなく、いつもイライラしている。そんなチームなので新しいメンバーはなじめず、すぐに辞めてしまう。

 そんなチームだが、社内では評価を得ていた。ベテランのメンバーで構成されているため、生産効率が高いのだ。



大きなミス


 そんなある日、大きなミスが起きた。出荷前に発見され、製品回収までの問題にはならなかったが、工場内では大騒ぎになった。リーダーが製造責任者に確認をせず、独断で起こしたミスだった。

 驚いたことに、そこでまったく関係のない彩矢が責められた。メンバーから「どうして確認しなかったの!」などと怒鳴られた。彩矢は耐え切れなくなり、退職した。勤務してわずか1カ月で、頭痛、不眠、疲労感とうつ気分、胃腸の不快感などに襲われ、働き続けられる状態ではなかった。

 その後、人事担当者が健康調査という名目でチームを調べた。すると、リーダーは慢性の腰痛や肩こり、頭痛、めまいで悩み、複数の病院から薬を処方されていた。慢性疲労から筋肉痛や神経痛、頭痛を発症し、うつ病にもなっていた。他のメンバーにも同じような状態の者がおり、チームで複数の者がうつ病だったのだ。




チームにうつ病がまん延
 

 チームの場合、誰かがうつ病になると他のメンバーにも影響を及ぼす。リーダーらの精神的なうつ気分は態度や会話を通じて、チーム全体にネガティブな影響を与えていた。

 また、工場の環境にも問題があった。管理上の理由から室温は常時15度に保たれ、作業していると体が冷え、筋肉も硬くなってくる。腰痛や神経痛になる従業員も多く、夏などは外気温との差から体調不良になる人も多かった。

 ストレスを抱えたチームは、メンバーがリーダーの顔色に敏感になったり、いじめが行われることがある。メンバーは居心地がよくないので、他人の不幸を喜ぶ感情が刺激され、脳にメンバーへのいじめ行為が報酬としてもたらされる現象も起こる。ストレスフルなチームは全体をむしばみ、深刻な問題構造を持つようになるのだ。こうしたチームは、会社の運命を変えるような事故を起こしかねない。




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●河田俊男(かわだ としお)

1954年生まれ。心理コンサルタント。1982年、アメリカにて心理療法を学ぶ。その後、日本で心理コンサルティングを学び、現在、日本心理相談研究所所長、人と可能性研究所所長。また、日本心理コンサルタント学院講師として後進を育成している。翻訳書に「トクシック・ピープルはた迷惑な隣人たち」(講談社)などがある。

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