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職場のメンタルヘルス/河田俊男

第42回「その男は、会社にうつ病にされたのか?」

職場のメンタルヘルスに関する事例・対策などについて、専門家が解説します。

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 テレビを見ていると、出勤するサラリーマンの姿がよく映る。そこには会社に残る人間も、去る人間も映っている。会社がその人間を価値のない人材と決めるのか、あるいはその人間が会社を価値のない組織と決めるのか。それは、どんな理由で決まるのだろうか?



部下からの最低評価


 祐一は40歳。IT関連企業で若くして出世した人間だ。ところが、部下から「高圧的で、まったく私の話を聞きません」「冷酷で思いやりがありません」「人望もなく、まったく使えません」などという評価が相次ぎ、上司としての評価は最低だった。「もう我慢できません」というのが部下たちの共通の気持ちで、祐一がいると職場の生産性が低下するという。そこで人事部は、彼の配置転換を決めた。
 人事部は、祐一が他の部署に異動する前にコミュニケーション能力を養う研修に参加させ、カウンセリングを受けさせた。祐一は、外部研修機関でコミュニケーション研修を受けると、その後すぐにある支社に転勤になった。そこでは、カウンセリングを受けることが主な業務になった。2週間に1回程度カウンセラーと称する人間が来て、彼のコミュニケーション能力を高めるカウンセリングを行った。毎回、祐一にはレポート提出が課せられた。

 レポートは、「なぜ部下に慕われないか、その理由を考える」「強い自尊心は、いつからできたのか、子供のころから振り返る」「どうして人を愛せない人間になったのか」などという内容だった。




妻子が逃げる


 そのころから祐一の精神状態は崩れてきた。カウンセリングの影響もあって攻撃的になっており、転勤先から自宅に戻るとよく妻を罵倒した。怒りの衝動をコントロールできなくなり、うつ病になったようだった。妻に対して、「お前はどうしようもないバカ女だ。親の遺伝だ」「ブスのくせに美人のふりして、自尊心ばかり高くて最低の女だ」「死んでしまえ」などと暴言を吐いた。妻は耐えかねて、子供を連れて実家に帰ってしまった。祐一の症状はさらに悪化していった。


 祐一が提出するレポートの内容に対して、カウンセラーは「なぜ、そんな人間なのか」「なぜ、自分が最低な人間であることを素直に認められないのか」「今まで、人に感謝したことがあるのか」などと質問し、彼が深く自己否定せざるを得ない状況に追い込んでいった。うつ病は、ますます深刻な状態になっていった。そしてとうとう彼は「自分は役に立たない人間で、無能です。どうか会社を辞めさせてください」と言った。祐一へのカウンセリングはそこで終了した。




最悪のカウンセリング


 そもそも祐一は長い間、頭痛に悩んでいた。部下が思いどおりの成果を上げないとカッとなり、カミナリにでも打たれたような激しい頭痛になった。彼の脳は興奮しやすく、いつも怒っているような状態だった。いつうつ病になっても不思議ではなく、成果を出すことに集中するあまり、冷酷な人間になっていた。それは子供のころから親に褒められず、愛されないという環境で育ったためでもあった。




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●河田俊男(かわだ としお)

1954年生まれ。心理コンサルタント。1982年、アメリカにて心理療法を学ぶ。その後、日本で心理コンサルティングを学び、現在、日本心理相談研究所所長、人と可能性研究所所長。また、日本心理コンサルタント学院講師として後進を育成している。翻訳書に「トクシック・ピープルはた迷惑な隣人たち」(講談社)などがある。
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