株式会社ベル/Made in Japanにこだわる靴工房の人材活用
人材育成や働きやすい職場環境の実現などを目的した、組織活性化のための制度事例を紹介します。
国内のものづくり企業は、卸問屋や流通側とのOEMなどで価格帯の拘束からなかなか抜け出すことができないだけでなく、ブランド力を磨く機会を持てないことが多い。 靴メーカーの株式会社ベルは品質にこだわった靴を作り、自ら価格決定してブランド力を高めていきたいと直販への転換をインターネット販売にかけ、注力した。2009年には楽天市場ショップ・オブ・ザ・イヤー受賞。直営店を持ち、現在はその数を増やすなど、時代の変化に対応している。
製造卸からオリジナルブランドの確立、インターネット販売、そして直営店販売と進化する中で会社はどのような課題に直面したのか。同社の代表取締役社長で、シューズクリエーターの高山雅晴さんに話を聞いた。
―ベルの靴の特徴は何ですか?
スニーカーのように履きやすい、疲れない靴です。独自に開発したインソールは特許を取得しています。本革でなく、マイクロファイバーレザーという国内生産の新素材を使い、柔らかい上にお手入れも簡単。創業から40年以上にわたり靴製造に取り組んできた職人技も自慢です。
国内素材、国内生産、Made in Japanにこだわっています。グッドデザイン賞を受賞し、神戸セレクション6年連続認定の商品ですので、デザイン力にも自信があります。
代表取締役社長 高山雅晴さん
―以前は製造卸を行っていたそうですが、直販に切り替えた理由を教えてください。
価格帯に合わせて製品を作ることを求められると、利益を確保するにはコストダウンしかなく、品質を上げることが難しいのです。10円、20円のコストのかけ方の違いで、国産の良い材料が使えるのです。10円余分にかけたら10円分以上の品質差の材料を使えるにもかかわらず、自社に価格決定権がないと選択肢がないわけです。
当社は直販なので、お客さまに「この品質で、このお値段です」と直接提示できます。なので国内素材、国内生産にこだわり、お客さまが求める品質を適性価格で提供できるものづくりができています。 また、左右サイズの異なる注文や、甲幅のサイズ変更に対応できる商品を用意しています。こういったことも、工場直販だから可能です。
―事業の転換には、人の力も大切だと思います。採用はどのような基準で行っていますか?
商品やホームページを見て、職人的な格好良さに憧れて、うちで働きたいと言う人は確かにいるのですが、イメージ先行で憧れが高じると、かえってミスマッチとなります。インターネットや電話で、お問い合せをいただくお客さまへの対応など、社内にはいろいろな業務があり、そういった仕事が実はとっても大事です。
「お客さまから、こんなご指摘をいただいたので、こうやって改善していきましょう」「先ほど、お客さまから、このような嬉しい言葉をいただきました」といった良いことも悪いことも社内で共有しているので、職人的に靴づくりに没頭するクリエーターのようなイメージとは、かなり違います。 例えばインターネット関連の部署のリーダーの前職は、スーパーのレジ係です。8年前に靴の仕上げ担当スタッフとして採用しました。
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●株式会社ベル所在地:兵庫県神戸市長田区大橋町1-2-11資本金:900万円従業員数:80人(パート含む)年商:5億5000万円(2014年度)事業内容:アパレルシューズ製造・販売会社ホームページ: http://www.belle-co.jp/楽天市場サイト「やさしい靴工房 Belle and Sofa」:http://www.rakuten.ne.jp/gold/ilbelletto/
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