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人材育成や働きやすい職場環境の実現などを目的とした、組織活性化のための制度事例を紹介します。
マネジメントというポストを排除し、経営陣を含めて上下関係をなくして、経営効率の最大化に取り組んでいる企業がある。インターネットサービスの企画・開発などを行っている株式会社ISAO(呼称:イサオ)だ。同社の代表取締役、中村圭志さんはいう。
「そもそもマネジャーというポストに就く人は、生産性の高い優秀な人たちです。彼らの力こそが大事で、中間管理職の仕事よりもやってほしいことがあるはずです」
事業の効率化を図り、生産性を高め、イノベーションを生み出し、会社をさらに成長させる―そのためには、所属部署だけの論理で行動が制限されたり、限定的な情報しか与えられないと成長の阻害要因となる、と中村さん。だからこそ「徹底的な組織のフラット化と情報のオープン化が必要」という。そうすることで、全社員が経営視点で仕事を考えられるようになり、自ら会社に貢献しようという意識も生まれ、会社の求めるビジョンの達成に力を注いでもらえるようになるというのだ。
そして生まれた制度が「バリフラットモデル」だ。バリとは博多弁で、強調を示すときに使う言葉である。ただのフラットではなく「バリ」という言葉を加えることで、階層や上下関係をなくしたことを強調している。
これに加えて推進したのが情報のオープン化だ。経営目標のみならず社員の等級と基本給与額、全社員の行動など、ほとんどすべてをオープンにした。中村さんでいえば、どの企業の誰に会うなどというスケジュールが、すべて社内SNSで公開されている。中村さんにバリフラットモデルについて聞いた。
―なぜ、組織のフラット化にこだわったのですか?
僕は2010年にISAOの代表取締役に就任しました。当時は180人の会社に役員、事業部長、部長、グループリーダーがいて役職インフレと呼べるような状況にあり、決定権者や責任者が誰なのか、よく分からなかったのです。業務も縦割りで効率も悪く、年間数億円の赤字を出しており、会社存続の危機といっても過言ではありませんでした。
役職者が多いほどスピード感のある意思決定はできず、経営効率も悪いということで、3年かけてマネジャー9人という体制にしたのです。経営効率はよくなったんですが、まだ弊害はありました。うちはもともと従業員同士の仲はいいのに、連携がとれない状況がありました。情報も分断されており、会社的にどんな判断が正しいのかも分からないから、上司の確認が必要になる。そういったことが事業のスピードを阻害するわけです。
結局、部署があると部署単位で考えてしまうし、他部署のプレイヤーと一緒に事業をやりたくても、上司との話し合いが必要になります。就任早々、情報のオープン化を進め、従業員も経営視点で日々の業務を考えてくれるようになってきたのですが、それでも部署のことを第一に考えてしまうわけです。
●代表取締役 中村圭志さん
そこで2015年9月に経営メンバーで話し合い、完全にフラットにしようと考えました。言い出したのはメンバーのうちの2人で、僕ではありません。会社の業績は2012年7月の黒字化以降、赤字になったことがありません。部長たちは業績回復の立役者ですので、そのままでも自分の地位は安泰です。
ですが、われわれがやろうとしている『ニッポン発! 億人を熱くするサービス実現』というビジョンを考えると、世界の皆さんにインパクトを与えるサービスを生み出すために全社の力を振り絞らなければいけません。自分が経営メンバーだから、部長だからということに縛られてはいけないので、よりフラットにしようとしたわけです。
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●株式会社ISAO
所在地:東京都台東区浅草橋5-20-8 CSタワー7階
資本金:1億5000万円(豊田通商株式会社100%出資)
従業員数:201人(2016年2月1日現在)
事業内容:インターネットサービスの企画・開発・運営など
ホームページ: https://www.isao.co.jp/
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