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わかりやすい仕事の教え方

第3回「自分のことを理解してもらう」

誰に対しても応用できる仕事の教え方について、わかりやすく解説します。教え方を学ぶことは、人材育成や定着の施策を考える上でも有効です。

 こんにちは。林博之です。前回、相互理解のためには「傾聴」と「観察」が必要だとお伝えしました。教える側が教える相手を知ろうという態度を見せれば、教わる側も教わる相手を知ろうという気持ちになるもの。相手にも自分のことを知ってもらってこその相互理解です。
 大切なのは、相手を知ろうという気持ちを表現することです。今回は、俳優のトレーニング方法でもある手法をお伝えしようと思います。

 


ポイント1/相手を知ろうという気持ちを表現する 

            
 以前、俳優が舞台上でコミュニケーションを取るために大事にしていることは、「相手と呼吸を合わせること」だとお伝えしました。そのためのトレーニング方法の1つに、「ミラーリング」というものがあります。2人1組になって行なうもので、お互いが向かい合わせに立ち、1人が「鏡」となり、相手のしぐさを鏡写しのようにまねるのです。

 

 
 動きをまねるためには、相手をしっかり見なければいけません。次に、相手がどうするかを注視することで、相手のことが見えてきます(余談ですが、学生時代にラグビーをやっていた方からミラーリングを使った練習方法があると教えていただきました。相手の動きを読んでタックルをするために役立ったそうです)。

 

 


ポイント2/同じしぐさをする

               
 心理学でいうミラーリングとは、相手と同じしぐさをすることで好意が増すというものです。例えば、お互いに座ってコーヒーを飲みながら話をしているとします。そのとき、相手がコーヒーを口に運んだら、数秒後に自分も同じようにカップを口に運ぶのです。
 これは「類似性の要因」というテクニックに基づいたものです。自分に価値観が似ている人と仲良くなる経験をした人も多いのではないでしょうか。

 

 


ポイント3/お互いに興味を持つ

            
 テクニックだけに頼っていては、相手に見透かされてしまうと思う方もいらっしゃるかもしれません。ですが、テクニックを使ってでも「あなたの話が聞きたい」という気持ちは、必ず相手に伝わります。それが伝われば、相手もこちらの話を聞いてみたいという気持ちになるものです。
 人間は、自分のことを好きになった相手を好きになるという特性があります。これを「好意の返報性」といいます。お互いに興味を持つ。それが教え上手の道につながっています。

 

 


 

 

 ●文/林 博之(はやし ひろゆき)
ラーンフォレスト代表。俳優活動、ビルメンテナンス会社勤務を経て、行政書士の資格を取得。中小企業のサポートを行いながら、さまざまな研修を実施。認定SPトランプファシリテーター。
http://learn-forest.com/

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