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近年、注目されているデジタルトランスフォーメーション(DX)について、言葉の定義から企業としての取り組み方まで、わかりやすく解説します。(2021年9月7日)
前回(5回)は、テレワーク・リモートワークを実現するための考え方やITツールをご紹介しました。ここまで第2回から第5回まで、一般的なIT活用(下図のレベル1〜3)について触れてきました。
(東京商工会議所「IT活用実態調査」より作成)
一般的なIT活用についてお伝えしてきた理由は、レベル3までができていなければ、デジタルトランスフォーメーション(DX)などできないからです。一般的なIT活用は、DXを行うための前提条件です。
日常的にITツールを使いこなすようになって、それをビジネスそのものにも活かそうという視点が得られます。具体的には、「顧客が感じる価値(顧客体験:UX)を向上させるために、どのようにデジタル(IT)を活用するのか?」を模索し始めるのです。
デジタルトランスフォーメーション(DX)とは何か?
あらためて、DXとは何かを確認しておきましょう。本連載の第1回(デジタルトランスフォーメーション(DX)とは何なのか?)にてご紹介しました。
<ストルターマンの定義>
2004年、スウェーデンのウメオ大学教授 エリック・ストルターマンの定義では、
「デジタルトランスフォーメーションとは、デジタル技術(IT)の浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させること(The digital transformation can be understood as the changes that the digital technology causes or influences in all aspects of human life<原論文>)」
と示されています。今回はさらに、ビジネス視点での定義を追加しましょう。
<マイケル・ウェイドの定義>
スイスのビジネススクールIMDのマイケル・ウェイド教授は、ビジネス視点でのDXについてより詳細な定義を行いました。
「デジタル技術とデジタル・ビジネス・モデルを用いて、組織を変化させ、業績を改善すること」(『DX実行戦略』から抜粋)
つまり、単にITツールを活用するということではなく、以下の条件を満たすものとしました。
・デジタル技術を土台とした変革であること
・業務プロセスや人、戦略など、組織の変化を伴うこと
・企業の業績を改善するものであること
つまり、「デジタル技術が一般的になった現代に合わせて、戦略・業務プロセス・組織・制度などを再設計すること」です。これまで人類は、技術の発展と共に新しい技術を活用しつつ、ビジネスを変革してきました。下図のような流れです。
人手で作業していたことが、18世紀の産業革命によって動力を活用するようになりました。20世紀初頭、電力が活用されるようになると、大量生産や分業制が進みました。大きな技術革新が起きた後には、ビジネスモデルが大きく変わりました。コンピューター・インターネットの登場以来、MicrosoftやApple、Amazon、Googleなどが急激に台頭したのは、そのためです。
同様に、現代はデジタル技術が登場したことに合わせて、ビジネスモデル(人・組織・制度など)を再設計することが求められています。それがデジタルトランスフォーメーション(DX)の本質です。
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●文/渋屋隆一(しぶや りゅういち)
中小企業診断士、情報処理技術者。
大学卒業後、IT企業にてエンジニア・商品企画を担当。2015年独立。ITとデータを活用した「売れ続ける仕組みづくり」「業務改善」「働き方改革」を得意としている。コンサルティングや研修・セミナーを通じて、中小企業の経営支援を行う。著書に『コレ1枚でわかる最新ITトレンド』(技術評論社)、『社長はデータをこう活かせ!』(日本実業出版社)など。
Webサイト: https://100athlon.com
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