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人事労務に関するトラブルは、労働者と雇用主の双方にとって負担となります。職場でトラブルになりがちなことについて、予防の観点から解説します。(2021年10月26日)
さまざまな労働トラブルの中で、特に難しいのが解雇に関する対応です。
解雇とは、雇用主が労働者に労働契約解除の申し入れを行うことを言います。解雇される労働者が納得していないとトラブルにつながります。納得していない労働者の選択肢は、ユニオン(労働組合)に持ち込む、労働局にあっせんの申請をする、訴訟までを見据えて弁護士に相談する、などが考えられます。
企業としては、問題の長期化や紛争化はさけたいところではないでしょうか。トラブルになりがちな解雇は3つあります。試用期間中の解雇、問題社員の解雇、整理解雇です。それぞれについて解説します。
(1)試用期間中の解雇
試用期間とは、企業が本採用前に労働者の能力や適性などを見てから、「正式に採用するかどうか」を決めるために設ける一定の期間のことです。企業はあらかじめ試用期間中の労働条件(期間、賃金額、本採用の可否の判断基準など)を規定し、労働者に通知する必要があります。
期間について、法の規定はありません。適性を知るための期間は業務内容によっても変わるので、妥当な範囲であれば自由に決めることができます。一般的に1カ月〜6カ月までとすることが多いようです。
採用を見極める期間であることから、よく勘違いされるのが「簡単に解雇できるのではないか」ということです。試用期間中であっても労働契約は成立しているため、自由に解雇できるわけではありません。
試用期間を設定した趣旨・目的を鑑み、客観的に相当な理由が認められる場合にのみ解雇することができます。通常の労働者の解雇と比較すると、解雇理由の範囲は広くなりますが、解雇をする「客観的合理性」「社会的相当性」は必要です。
試用期間でも「社風に合わない」「期待していた能力ではなかった」といったあいまいな理由は認められず、通常の解雇と同じように客観的に妥当な理由が必要です。
また、解雇通知も通常の解雇と同様で30日前に予告するか、予告の代わりに30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければなりません。ただし、試用期間の開始から14日以内であれば、予告も手当も必要ではないという特例が認められています。
(2)問題社員の解雇(反抗的な社員やよく遅刻をする社員など)
問題のある社員の解雇は、段階を踏んで行う必要があります。
例えば、遅刻が多い社員がいても、すぐに解雇することはできません。どのくらいの頻度で遅刻をしているのかを把握したり、会社の管理体制に落ち度がないかを確認する必要があります。遅刻に対して、注意や指導をした実績も問われます。さまざまな対策をとった結果、状況が改善しなかったら懲戒処分を行い、それでも解決できなかったときに解雇という選択肢が見えてきます。
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●文/株式会社アイデム 東日本事業本部 データリサーチチーム
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