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シゴトの風景

第121回「仕事中、睡魔に襲われたら」

働く個人にこれまでのキャリアや仕事観を聞き、企業が人を雇用する上で考えなければならないことを探ります。(2023年5月9日)

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「一度大きな失敗をしてしまってからは、毎日ランチ抜きで仕事をするようにしています。お腹は減りますが、以前のように眠気に襲われることはなくなりました。万が一のリスクを考えたら、空腹に耐えるほうがずっといいですからね」
 そう語るのは、Web制作会社でディレクターとして働く村尾達也さん(仮名・31歳)。長年、ランチ後に襲ってくる猛烈な眠気に悩まされてきたという。

 眠くなるだけでなく、身体がだるくなって午後は全然仕事に集中できない状態に。とはいえ、近年残業が厳しく制限されていることもあって、夜遅くまで会社に残ることはできず、村尾さんは持ち帰り仕事が増えてしまった。
「あまり残業をしていたら周囲から“できないヤツ”と思われますし、残業代が欲しいから居残っていると勘ぐられるのもイヤで…」





 かねてから、午後ウトウトしているのを周囲に何度も目撃されてきたという村尾さん。当然、会社からの評価は芳しくないらしい。
「デスクで舟をこいでいる姿を、何度も上司に注意されたことがあります。毎年実施される評価面談でも、毎回居眠りを指摘されました。それが直接の原因かどうかは分かりませんが、会社の評価も多くの後輩たちに追い越されています。ちなみに、後輩たちには陰で“居眠りさん”と呼ばれて、ナメられているんですよ」

 「このままではいけない!」と思った村尾さんは、ネットで情報をあさって、さまざまな眠気対策にトライしてみたという。
「コーヒーやミント系のガムは、もちろん試しました。耳たぶにあるツボを刺激すると眠気が解消されやすくなる、とあったので食後に耳を引っ張ってみたりしたこともあります」

 また、ランチ後に眠気に襲われる原因のひとつは、血糖値が急上昇した後に急降下するからだとされている。その事実を知ってから、村尾さんは食事のとり方にも気を配るようになった。
「麺類やパンといった炭水化物単体はNGとあったので、できるだけランチは定食を選ぶようになりました。また、食べるスピードが早いと血糖値が乱高下するとのことだったので、よくかんでゆっくり食べるように。けれども、それでもランチ後の睡魔はいっこうに改善されなかったんです」

 コロナ禍に入ってから、村尾さんの会社では積極的にテレワークを導入。家で仕事をする日は誰の目も気にならないので、村尾さんはランチ後に30分程度の仮眠を取るようになったという。目覚めた後は頭がスッキリすることから、仕事のパフォーマンスも上がった。
「ところがある日、うっかり寝過ごしてしまい、大事なクライアントへのWebプレゼンをすっぽかしてしまったんです。自宅ということもあって、つい緊張感が緩んでしまっていたのでしょう。過去に、打ち合わせ中に居眠りを指摘されたことがあるクライアントだったので、速攻で担当を降ろされ、その案件は後輩へと引き継がれました」
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につづく
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