上司が部下に一方的に「教え」たり、「注意」したりするアプローチは終わりました。今は部下の意見を引き出して、「一緒に」解決する「コーチング型」の上司が求められています。改善のために「これからどうする?」と相手の意見を聴きながら、「一緒に」解決していくアプローチで部下のやる気を引き出しましょう。
ミレニアル世代が求めているのはコーチ!
私を含む「昭和の人間」にとって、上司というのは「一方的に仕事を教えて」くれる存在だったことが多かったのではないでしょうか。当時の私たちは、言われたことに「ただ従って」仕事をし、ときには注意されるのも、叱られるのも当然でした。
時代は変わって、今の若い世代に聞いたアンケート(アイデム2022年新入社員動向調査)で上司に求めることは「相談しやすく悩みを聞いてくれる」「人として尊敬できる」が上位にあがっています。
現在の管理職は、自分達が部下のときに体験した方法とは違った「コーチング型」のポジティブなアプローチをすることが求められており、ここにチャレンジを感じている人は多くいらっしゃいます。双方方向のコミュニケーションで、積極的に部下の考えや思っていることを引き出し、「一緒に」解決していくのです。
サンドイッチ技法で効果的にコミュニケーション
では、具体的にどのようにすればよいのでしょうか?
いくら「ポジティブに」とは言っても、部下に注意をしたり、業務を改善したりすることは当然必要です。多くの企業さまで研修をする中で「褒めるのは苦手」や「注意したいことがあって」との意見を多くいただきます。
そんなときにおすすめするのが、「サンドイッチ技法」のコミュニケーションです。口を開けば「注意やネガティブな指摘」では、部下も聞く耳を持たなくなってしまいます。最初は相手の状況を聞いたり、最近行ってくれた肯定的な行為についてコメントをするなど、会話は前向きに明るくスタートしましょう。その後に「1つ話したいことがあるのですが、いいですか?」と許可を得てから、「注意や改善点」について伝えます。そして、最後はそれについての意見を聞いたり、具体的にどのように改善するか、一緒に話し合い、ポジティブな形で話を終了します。ネガティブフィードバックの前後にポジティブなアプローチを入れる、この「サンドイッチ」技法、是非試してみてください。
●文/ヴィランティ牧野祝子(まきの のりこ)
国際エグゼクティブコーチ、株式会社グローバル・キャリアデザイン代表
米コロンビア大卒、仏INSEAD(欧州経営大学院)MBA修了。イタリア・ミラノ在住。障害児を含む3児の母。20年間に渡り、国内外10カ国で米系戦略コンサルティングファーム、仏系化粧品会社、英系酒販会社、伊系アパレル企業でマーケティングや新規事業の立ち上げなど、さまざまなキャリアを積む。さまざまな仕事で培った経験やノウハウを活かし、国際エグゼクティブコーチとして独立。考え方や事情の異なる人たちが一緒に仕事をするには、個々のよさを引き出す環境を作ることが必要と考え、ポジティブフィードバックを活用したコーチング・スキルを伝える活動を行う。法人・個人を問わず、グループ面談やセミナーなどを年間2000セッション実施。著書に『国際エグゼクティブコーチが教える人、組織が劇的に変わるポジティブフィードバック』(あさ出版)。