働く目的は「お金を得るため」
時事通信の調査によると、2024年春の新卒社員の初任給について、国内主要企業100社の6割が引き上げを決めたことが分かりました。大手を中心に、新卒の初任給を引き上げる企業が相次いでいます。背景には、物価上昇や少子高齢化の進行による人口減少社会への対応があります。将来、働き手不足と国内マーケットの縮小を避けることはできず、企業は優秀な人材の確保と定着を図っていかなければなりません。
人が仕事を選ぶ基準はさまざまです。給料や仕事内容、職場の雰囲気、企業規模、休みの取りやすさ、通勤時間など、本人の状況や志向によって異なるでしょう。一方、働く理由では経済的なことをあげる人は少なくないのではないでしょうか。
内閣府の『国民生活に関する世論調査』(令和6年3月発表)※1で「働く目的は何か?」を聞いたところ、最多は「お金を得るために働く」64.5%でした。次いで、「社会の一員として、務めを果たすために働く」10.8%、「自分の才能や能力を発揮するために働く」7.2%、「生きがいをみつけるために働く」12.8%となっています。同調査の過去2年の結果をみると、最多はいずれも「お金を得るために働く」で上昇傾向にあります(令和3年9月調査61.1%、令和4年10月調査63.3%)。
※1:調査対象は全国18歳以上の日本国籍を有する者(有効回収数3,076人)、調査期間は令和5年11月9日〜12月17日
被災地で発行された2つの壁新聞
先日、能登半島地震で大きな被害を受けた石川県珠洲市の避難所で、子供たちが手書きの壁新聞を発行しているというニュースがありました。仮設トイレの使い方や体調維持のための体操を紹介したり、アンケートをとって炊き出しの人気メニューを発表するなど、子供たちは被災者を元気づけたり、少しでも生活を楽しくしようとして工夫しながら作っているそうです。
壁新聞の発行で、世界のメディアで話題になり、国際新聞社協会※2の特別表彰を受けた新聞社があります。東日本大震災の直後、2011年3月12日から17日までの6日にわたって手書きの壁新聞を発行し、コンビニや避難所などに張り出した宮城県石巻市の石巻日日新聞です。震災被害で印刷設備や輪転機が使えないなどの状況にありながら、地域住民の情報源としての矜持を保とうと壁新聞を発行した石巻日日新聞の姿勢は、能登で壁新聞を作る子供たちと共通するものを感じます。
※2:報道の自由の促進や保護などを目的として設立された世界的組織。1958年設立し、120カ国以上が参与している。会員は世界各国の報道機関に勤める編集者、幹部、記者など。
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●文/三宅航太
2004年、株式会社アイデム入社。東日本事業本部データリサーチチーム所属。同社がWebサイトで発信する「人の戦力化」に関するコンテンツの企画・編集業務に従事する。さまざまな記事の作成や数多くの企業を取材。