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マネジャーの心得／田中和彦

第14回「年上の部下には、リスペクトを欠かさず、プライドを守ること」

現場マネジャーに向けて、リーダーとしての心構えやマネジメントの手法などを解説します。

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　多くの企業が、年功序列による昇進・昇給の考え方から、スキルや能力、業績をベースにした成果主義の人事制度へと移行している今、初めて持った部下が年上だったという話をよく聞きます。昨今、部下の全員が自分より年下という状況のほうが、むしろ珍しいくらいです。それくらい「年上の部下」という存在は、企業の中では一般的になりつつあります。
　誰だって年上の部下との付き合い方は苦手に感じるものですが、もはや避けて通れないのです。ここは1つ腹を据えて、正面から向き合いましょう。
　年上の部下への接し方のポイントは2つです。



�／誉犬寮菁擇悗離螢好撻�トを欠かせてはならない

　上司という存在は、たまたま組織上の要請から任命されているものです。なので、間違っても自分のほうが絶対的な上の立場などとは思わないことです。
　年上の部下に対しては、年長者への敬意を払う必要があります。何といっても人生の先輩なのですから、敬語を使い、丁寧に話すなどの配慮は当然のことだと思ってください。上からモノを言うような態度は禁物です。
　私は今までに、何人もの年上の部下の人たちと一緒に仕事をしてきましたが、常に「相手は先輩」という立場で接してきました。

　なので、お願いごとをするときやアドバイスをもらうときも、年下の1人の人間という立場で依頼をしたり、意見を求めたりしていたものです。
「企画書を提出する件ですが、先方の担当者の方に連絡していただけますか？」
「○○さんは、このケースでは、どの方法がベストだと思われますか？」
という具合です。
　ただ、気を使うあまり、必要以上にいんぎん無礼になったり、まわりくどい言い方になったりすると、かえって相手をいら立たせることにもなります。
「上司は部下を動かす役割」も、やはり組織上の要請であり、指示や依頼はストレートに伝えるという割り切りも必要になってきます。

　そのためにも、率直にものの言える関係性は早期に築いておきましょう。
　2人だけで飲みに行って、よろいを脱いだ雰囲気の中、「いい部署にするために、○○さんの力を最大限に発揮していただき、ぜひ協力してください」というような言葉に対して、「よっしゃ、分かった」「ひと肌脱いでもいい」などの反応を引き出すことができれば、その後の組織運営もきっとうまくいくことでしょう。



�▲廛薀ぅ匹呂匹鵑覆海箸�あっても守ること

　もう1つ大切なことは、どんなことがあろうとも年上の部下のプライドは絶対に守るということです。ただでさえ年下の上司に仕えているわけですから、さらにプライドが傷つくようなことがあると、立ち直れないくらいにモチベーションを下げてしまい、部署全体に悪影響を及ぼしてしまいます。
　仕事がうまくいかなかった場合やミスやトラブルを犯した場合などは、他の若いメンバーに知られないように、あなただけの範囲でうまく処理してあげてもいいと思います。




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●文／田中和彦（たなか かずひこ）
株式会社プラネットファイブ代表取締役、人材コンサルタント／コンテンツプロデューサー。1958年、大分県生まれ。一橋大学社会学部卒業後、人材サービス関連企業に入社し、情報誌の編集長を歴任。その後、映画配給会社のプロデューサー、出版社代表取締役を経て、現在は、「企業の人材採用・教育研修・組織活性」などをテーマに、“今までに2万人以上の面接を行ってきた”人材コンサルタント兼コンテンツプロデューサーとして活躍中。新入社員研修、キャリアデザイン研修、管理職研修などの講師や講演は、年間100回以上。著書に、『課長の時間術』『課長の会話術』（日本実業出版社）、『あたりまえだけどなかなかできない42歳からのルール』（明日香出版社）など多数。
連絡先：info@planet-5.com
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