経験豊富なパートタイマーが、職員への指導や業務調整などを担う職場があります。パートリーダーは現場を支える重要な存在ですが、「正社員より仕事をしているのに、なぜ給料が低いのか?」と不満を抱くこともあります。この不満を放置すると、意欲の低下や正社員との対立、退職につながりかねません。管理者には、実際の仕事内容や責任を確認し、職務と待遇との関係を説明することが求められます。
■今回の事例
介護事業所で働くAさんは、勤続8年のパートリーダーです。通常の介護業務に加え、新人指導、業務分担の調整、利用者の家族への対応なども行っています。現場では、勤続2年の正社員Bさんよりも、Aさんに質問や相談が集まっています。
ある日、Aさんは管理者に「私のほうがBさんより仕事をしています。新人にも教え、トラブルにも対応しています。それなのに、なぜ正社員より給料が低いのでしょうか?」と訴えました。このような場合、管理者はどのように対応すればよいのでしょうか。
■解説
「正社員だから」「パートだから」という雇用区分だけで、待遇差を説明することは適切ではありません。
まず、AさんとBさんの仕事内容、責任の程度、配置変更の範囲などを確認します。Aさんが正社員と同じ仕事や責任を担っているのであれば、業務分担だけでなく、時給、手当、賞与、評価制度などの見直しも必要です。
業務内容・責任範囲などを明確にする
日常的な業務、新人指導、苦情や事故への対応、判断できる範囲、残業や緊急時対応、異動の範囲などを比較します。正社員には、事業所間の異動、緊急時の呼び出し、事故発生時の最終報告などが求められる場合があります。このような違いが待遇差につながっているのであれば、具体的に説明します。
反対に、Aさんが正社員とほぼ同じ仕事と責任を担っている場合は、パートリーダーの職務を明文化し、時給やリーダー手当などを見直します。正式な権限を与えず、責任だけを負わせている場合は、業務分担の見直しが必要です。
承認と目標設定によって意欲を高める
給料への不満には、「自分の働きが評価されていない」という気持ちが含まれることがあります。「いつも助かっています」という言葉だけではなく、「新人が早く仕事を覚えられているのは、Aさんが丁寧に教えているからです。先日の家族対応でも、Aさんの早い報告によって問題が大きくならずに済みました」というように、具体的な事実をあげて伝えます。
ただし、承認だけで給料の問題を終わらせてはいけません。今後期待する役割と評価基準を明確にし、その成果を時給、手当、賞与などにどのように反映するのかも示します。
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●文/山田真由子(やまだ まゆこ)
山田真由子社会保険労務士事務所代表。特定社会保険労務士、公認心理師、キャリアコンサルタント。26歳のときに3度目の受験で社会保険労務士に合格。さまざまな業種にわたり、約15年のOL 生活を経て、2006年12月に独立開業。現在、「誰もが輝く職場づくりをサポートする」をミッションとして活動している。経営者や総務部担当者などから受けた相談件数は延べ10,000件以上、セミナー登壇は1,500回以上を数える。著書に『外国人労働者の雇い方完全マニュアル』(C&R研究所)、『会社で泣き寝入りしないハラスメント防衛マニュアル部長、それってパワハラですよ』(徳間書店)、『すぐに使える!はじめて上司の対応ツール』(税務経理協会)。