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個人の働き方や企業の人事労務、行政の労働施策など、労働に関するニュースを取り上げ、課題の解説や考察、所感などをつづります。(2022年3月10日)
80位から103位に転落
これはある指標での日本の順位です。190カ国中103位です。「まぁ高い順位ではないな」ということはわかると思います。2022年2月に、世界銀行(THE WORLD BANK)から男女の格差に関する調査(Women,Business and Law 2022)の結果が公表されました。その結果というのが、冒頭の順位です。
この調査は、いくつかの指標を総合判断した結果を国別の順位にしています。日本は総合評価78.8、お隣の韓国は総合評価85.0の61位、アメリカは総合評価91.3の35位でした。日本の評価の中て特に点数が低かった分野はpay(給与)に関連するもので、100点中25点でした。
156カ国中120位という結果の調査もあります。これは世界経済フォーラム(WORLD ECONOMIC FORUM)の発表した世界男女格差指数2021調査(Global Gender Gap Report2021)で各国のジェンダーギャップ指数を比較したときの順位です。120位というのは、東アジア・太平洋地域で最下位です。この調査では、教育格差は解消されているが、政治参加に関して格差是正が全く進んでいないと評価しています。所得の格差についても言及されています。
162カ国中24位という結果もあります。これは国連開発計画(UNDP)の発表した人間開発報告書2020(Human Development Report 2020)にまとめられたジェンダー不平等指数の順位です。既に紹介した2つの調査結果よりも高い順位ですが、女性の労働参加率の低さ、女性国会議員の割合の低さが言及されています。
世界中でジェンダー格差是正の動き
上記3つの調査は、共通して「男女の格差」について「世界各国と日本」を比較したものです。他にもご紹介できる調査はありますが割愛します。いずれも日本の順位は総じて低い傾向にあります。ですが、どれも調査方法や比較内容が異なるため、順位はバラバラ。結局「どれが一番信用できるの?」と疑問を持った方も多いことでしょう。
どれが一番かはそっとしておいて、男女の格差に関する調査がこれほど多岐にわたっている背景を考えてみると、世界中でジェンダーの格差を是正しようとする動きがあるためではないか、と推測できます。日本も例にもれず、男女共同参画社会とか、男女雇用機会均等法とか、法整備や政策によって格差是正を進めているところです。
今春(2022年4月)にも、女性活躍推進法(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律)が改正され、対象となる企業の範囲が拡大します。簡単に女性活躍推進法で定められている企業の取り組みをまとめますと、次の通りです。
1.自社の女性の活躍に関する状況把握・課題分析…女性採用比率、勤続年数男女差、労働時間の状況、女性管理職比率等
2.状況把握・課題分析を踏まえた行動計画の策定・届出・公表…実施時期等を定め外部に公表
3.女性の活躍に関する情報公表…省令で規定する項目から事業主が適切と考えるものを公表
2022年4月からは、義務対象となる企業が拡大します。
・2022年3月現在:常用雇用する労働者の数が301人以上の大企業
・2022年4月以降:常用雇用する労働者の数が101人以上の企業
※常用雇用する労働者とは…期間を定めず雇用する労働者。雇用形態は問わない。
なお、義務を怠ったとしても罰則規定はないので、法的処罰を受けることはないようです。また、時限法という形をとっており、平成38年3月31日限り、その効力を失うとされています。
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●文/関 夏海(せき なつみ)
2014年、株式会社アイデム入社。データリサーチチーム所属。賃金に関する統計・分析を担当。WEBサイトで発信している労働関連ニュースの原稿作成なども行っている。
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