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判例に学ぶ労使トラブルの処方箋／岡正俊

外国人と日本人の賃金格差が認められた合理的理由〜D社事件（東京地判平成23.12.6、労判104421頁）〜

近年、労働関係の訴訟は社会的関心が高まり、企業にとって労使トラブル予防の重要性は増しています。判例をもとに、裁判の争点やトラブル予防のポイントなどを解説します。（2024年7月23日）

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　しかし、裁判所は、�，亘寨莠柁颪鬚發辰得沙擦垢戮�であるし、�△脇�本人従業員も厨房を使用することができる以上、「外国人研修生・技能実習生のみに費用を負担させることは相当でない」として、これらを退けました。

　また、寮は福利厚生施設として利用者に平等に利用料を負担させるべきこと、原告らの賃金が最低賃金をわずかに超えるにすぎなかったこと等から「多大な格差を許容する余地はない」とし、日本人従業員が負担する1万円を超える部分については「労基法3条に違反し、労基法13条により無効」としました。



【解説】
　前述の通り、今後「技能実習制度」は「育成就労制度」になりますが、仮に本件のような点が争われた場合、基本的には同様の判断になるものと思われます。

　つまり、同制度に基づいて就労する外国人の業務内容がほぼ日本人と同内容であったとしても、賃金の差が直ちに労基法3条に違反するものではないということです。「合理的な理由があるか否か」が判断され、制度に基づいて受け入れる際の企業の負担も考慮される要素になると考えられます。

　なお、新たな制度である「育成就労制度」では、ある程度の日本語能力が必要とされ、また育成就労の後も特定技能として引き続き就労することが想定されている点（国際貢献ではなく自社等の労働力育成である点）が、裁判所の判断に影響を与える可能性はあると思います。

　一方、住宅費・水道光熱費等については、利用者が平等に負担するもので、基本的には実費負担が相当と考えられるものです。特段の事情がない限り、本件のように日本人と外国人との間の差については「労基法3条に違反する」と判断される可能性が高いのではないかと思います。


●文／岡正俊（おか まさとし）
弁護士、杜若経営法律事務所代表。1999年司法試験合格、2001年弁護士登録（第一東京弁護士会）。専門は企業法務で、使用者側の労働事件を数多く取り扱っている。使用者側の労働事件を扱う弁護士団体・経営法曹会議会員。
https://www.labor-management.net/
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