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判例に学ぶ労使トラブルの処方箋/岡正俊

極端なボーナスカットで訴訟、企業が知っておくべき査定の注意点〜K社事件(福岡地裁H31.4.15判決、労判1205号5頁)〜

近年、労働関係の訴訟は社会的関心が高まり、企業にとって労使トラブル予防の重要性は増しています。判例をもとに、裁判の争点やトラブル予防のポイントなどを解説します。(2025年7月22日)

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 本件では、被告会社の業績がよくなかったという事情は他の正社員についても共通であること、原告の勤務成績についても、被告会社やその従業員に大きな損害を与えるような事故や失敗はなかったことなどを考慮すると、賞与減額のうち、少なくとも原告が平成26年以前に支給された賞与の最低額の2分の1を下回り、かつ平成27年から29年までの間の他の正社員の賞与支給率のうちの最低の支給率を下回った平成28年夏季賞与以降の賞与の査定については、「これを正当化する事由はない」としました。

 これに加えて、被告会社の代表者が、原告の賃金額等に強い不満を抱き、2回にわたって賃金を減額し、暴言等のパワハラ行為を繰り返していることやその発言内容等をも併せ考慮すると、代表者が原告の平成28年夏季賞与以降の賞与の算定に当たり、公正な査定を行わず、「恣意的にこれを減額した意図も推認される」としました。

 裁判所はこのように判示し、慰謝料として20万円が相当であるとしました。





【解説】
 賞与については、賃金規程等に具体的な支給基準や支給額が定められている例は少なく、毎年の労使交渉や使用者による査定によって決まることが多いと思います。このような場合、労使交渉によって支給基準が決まったり、査定結果が出てからでないと、労働者には賞与に関する具体的な権利はないとされています。また、査定によって賞与額が決まる場合、その査定については使用者に裁量権があり、その裁量権の濫用があった場合に損害賠償が認められます。

 このように賞与の決定については使用者に裁量があるといっても、労働者からの損害賠償請求が認められないわけではないので、使用者としては公正に査定を行う必要があります。また、本件でもそうですが、使用者側にパワハラ等が認められる場合には、「恣意的な査定がなされたのではないか」と疑われる可能性がある点にも注意が必要です。

 なお、本件では慰謝料という形で損害賠償が認められていますが、例えば具体的な減額分が明らかな場合には、減額分の請求が認められることもあります。
 いずれにしても、賞与だからといって使用者が自由に決めてよいわけではありません。特に特定の従業員のみマイナス査定とするような場合には、具体的な根拠資料の有無も含め、より慎重に判断する必要があると思います。



●文/岡正俊(おか まさとし)
弁護士、杜若経営法律事務所代表。1999年司法試験合格、2001年弁護士登録(第一東京弁護士会)。専門は企業法務で、使用者側の労働事件を数多く取り扱っている。使用者側の労働事件を扱う弁護士団体・経営法曹会議会員。
https://www.labor-management.net/
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