会話がふと途切れると、少し焦ります。
「何か話さなきゃ」
「気まずいと思われているかも…」
そう考えた瞬間、頭の中が白くなり、ますます言葉が出てこなくなることがあります。
そんなとき、どうしていますか?
まずお伝えしたいのは、会話が途切れること自体は、悪くないということです。人と人との会話には、少し考える間や、息を整える余白があって当然です。沈黙が一瞬もない会話の方が、かえって疲れてしまうこともあります。
問題は、沈黙そのものではなく、「沈黙を埋めなければ…」と焦ってしまうこと。焦ると、相手の話を聞くよりも、「次に自分は何を言うか?」ばかり考えてしまいます。すると、話を広げるためのヒントを聞き逃してしまうのです。さらにこの焦りは、相手に確実に伝わります。結果的に、その場の全員が妙な焦りの中、居心地の悪さを感じてしまうのです。
相手の話の中に出てきた単語に注目する
では、会話が止まりそうなときは、どうすればよいのでしょうか。
おすすめしたいのは、相手の話の中に出てきた「単語」に注目することです。テレビのバラエティ番組で、ひな壇芸人がMCの言葉に素早く反応して、すぐにコメントを返す場面があります。あれは、MCが話した文章全体に反応しているのではありません。印象的な単語や、話の核になるキーワードに反応しているから、返しが速いのです。
文章全体を受け止めようとすると、状況や感情、前後の流れまで考えなければならず、反応に時間がかかります。ところが単語なら、連想ゲームのように次の話題へつなげやすくなります。
例えば、相手が「週末、久しぶりに実家へ帰ったんです」と話したとします。このとき、会話全体を何とか膨らませようとしなくても大丈夫です。出てきた単語「週末」「久しぶり」「実家」に注目します。このどれか1つから連想すればいいのです。1つの単語から会話は自然に動き出します。
<例>
週末→「週末に帰られたのですね。どんな風に過ごされましたか?」
久しぶり→「久しぶりだと、ご家族も喜ばれたでしょうね」
実家→「実家のご飯って、なぜか特別に感じますよね」
以前、研修で「雑談が苦手で、会話が止まるのが怖い」という方がいました。その方は、沈黙が近づくたびに、新しい話題を一から探そうとしていたのです。そこで「相手の最後の一言に入っている単語を拾ってみてください」とお伝えしました。後日、その方は「話題を無理に作るのではなく、相手の言葉に乗せてもらえばいいと分かって、かなり楽になりました」と話してくれました。会話を自分一人で支えようとしなくなると、肩の力が抜けます。
慣れてきたら、1つの単語から3つほど連想語を出してみるのもよい練習です。例えば「実家」なら、「母の料理」「地元の駅」「昔の自分の部屋」といった具合です。その中から、相手が話しやすそうなものを選んで投げかければ、会話の展開はさらに広がります。
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●文/桑山元(くわやま げん)
研修講師・お笑い芸人・俳優。早稲田大学教育学部を卒業後、大手損保会社に入社。新入社員代表として答辞を務める。入社2年目に資産運用担当者として1,000億円を運用。その後、メインバンク本店担当部署で法人営業を経験。同社を退社後、声優養成所を経て、時事ネタを得意とするコントグループ「ザ・ニュースペーパー」に19年間所属。2022年に退団し、芸人と研修講師の二刀流で活動スタート。会社員時代に培ったビジネススキル、お笑い芸人として磨いたコミュニケーションスキルとアドリブ力などを武器に、企業や自治体などで数多くの研修を実施。メディア出演・掲載実績多数。著書に『すぐ使える!おもしろい人の「ちょい足し」トーク&雑談術』(日本実業出版社)。キャリアコンサルタント(国家資格)、損保代理店資格(特級・一般)、ニュース時事能力検定(準2級)。