4年後に341万人超の労働力不足、10年後に60歳以上が最大の労働力人口に
現在、労働力人口は行政の予測を上回る勢いで増加していますが、少子化に歯止めがかからない状況であることは変わりません。
近年、行政機関や民間シンクタンクでは、人口減少が社会にもたらす影響に迫る研究や調査を行い、将来の労働力不足を予測しています。2023年にリクルートワークス研究所が発表した『未来予測2040』によると、2030年に341万人超、2040年に1,100万人超(当時の近畿地方の就業者数が丸ごと消滅)の労働供給が不足すると推計しています。また、2024年にパーソル総合研究所が発表した『労働市場の未来推計2035』では、2035年に384万人の労働力が不足すると見込んでいます。
政府の人口統計データをもとに今後10年先(2036年)までの労働力人口の推移を予測すると、今から4年後の2030年ごろまでは政策の動向などによって増減が左右されると考えられます。現在、生産年齢人口(15〜64歳)は継続的に減少して若年層は減り続けていますが、高齢者や女性、外国人の労働参加率は上昇しています。2025年平均の労働力人口が過去最多を記録したのも、その影響です。
そして2030年以降は人口減少がより顕著になり、就業拡大も頭打ちになり、労働力人口は減っていくことが予想されます。今から10年後の2036年ごろに人口の年齢構造の変化が明確になり、フェーズが変わると考えられます。若年層(15〜29歳)の縮小は継続的なものですが、中核年齢層(30〜59歳)が大きく減少し、60〜69歳は増加します。60歳以上の増加は団塊ジュニア世代(1971〜74年生)が62〜64歳になるためで、2036年、高齢者の労働力はピークを迎えるとみられます。
2026年現在、51〜54歳の団塊ジュニア世代は日本の労働力人口において最大のボリュームゾーンであり、その影響は2040年ごろまで続くと考えられます。
■日本の人口ピラミッドの変化
現在の人手不足は、序の口にすぎない?
2017年に上梓された『未来の年表』(河合雅司/講談社現代新書)は、2065年ごろまでの日本で起こる社会変化を時系列に示し、ベストセラーになりました。同書は人口減少・少子高齢化という日本の問題にさまざまな角度から迫り、シリーズ累計100万部を超えています。
■『未来の年表』で予測されていること
【2030年】今から4年後
・ITを担う人材が最大79万人不足し、社会基盤に混乱が生じる
・百貨店も銀行も地方から消える
・医療業界が患者不足に陥る
【2033年】今から7年後
・空き家が2,167戸を数え、3戸に1戸は人が住まなくなる
・老朽化したインフラの維持管理・更新費用が最大5兆5000億円ほど膨らむ
【2035年】今から9年後
・男性の3人に1人、女性の5人に1人が生涯未婚という未婚大国になる
【2039年】今から13年後
・死亡者数が167万9,000人とピークを迎え、深刻な火葬場不足に陥る
【2040年】今から14年後
・全国の自治体の半数以上が消滅の危機に
同書は、人口減少が引き起こすさまざまな問題を予見しています。企業の人手不足もさまざまな問題を起こすことが考えられますが、現時点で言えることは、今の人手不足は、まだ序の口だということです。
企業は採用活動にあたり、採用要件を緩和したり、さまざまな働き方を用意したりして、間口を広げることがこれまで以上に求められることになるでしょう。また、業務の効率化を進めて省力化し、少ない人員でも仕事を回せるようにしていく必要もあります。人が充足しない可能性があることを前提に、事業運営を考えていく必要があるということです。
株式会社アイデム メディアソリューション事業本部 データリサーチチーム所属
大学卒業後、出版社に入社。書店営業部を経て、編集部に異動。書籍の企画・制作・進行・ライティングなど、編集業務全般に従事する。同社を退社後、フリーランス編集者、編集プロダクション勤務を経て、株式会社アイデム入社。同社がWebサイトで発信する人の「採用・定着・戦力化」に関するコンテンツの企画・編集業務を担う。働き方に関するニュースの考察や労働法の解説、取材、企業事例など、さまざまな記事コンテンツを作成している。