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判例に学ぶ労使トラブルの処方箋/岡正俊

社員が薬物犯罪で逮捕されたら〜O社事件(東京地裁令5.12.19判決、労判1311号46頁)〜

近年、労働関係の訴訟は社会的関心が高まり、企業にとって労使トラブル予防の重要性は増しています。判例をもとに、裁判の争点やトラブル予防のポイントなどを解説します。(2026年6月23日)

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【解説】
 薬物犯罪は、本件判決が指摘するように、社会に対する重大な犯罪です。一般的に、従業員の私生活上の非行は企業の職場秩序に「直接影響を与えるものではない」として、重い処分を科すことはできないと考えられていますが、薬物犯罪は上記のような重大性が故に懲戒解雇を含む重い処分が検討されることになります。本件判決では、懲戒解雇の効力は争点になっていませんが、争点になっていたとしても、有効とされていたと思います。





 これまでの裁判例では、従業員の私生活上の非行が「職場秩序に影響を与えたか」については、報道の有無が考慮されていましたが、本件判決では「報道等により社会に知られるには至っていないことは偶然の結果」としています。最近は、このような判断を示す裁判例が見られるようになっています。SNSを中心とした現代の情報化社会では、一度世間に知れると企業に重大な結果が生じかねないことから、裁判所の考え方も変わってきているのだと思います。

 本件の被告でも相当時間をかけて再発防止のための教育を行ったようですが、従業員が軽い気持ちで薬物犯罪に手を染めないよう、従業員教育の一環として取り入れることも検討されるとよいと思います。



●文/岡正俊(おか まさとし)
弁護士、杜若経営法律事務所代表。1999年司法試験合格、2001年弁護士登録(第一東京弁護士会)。専門は企業法務で、使用者側の労働事件を数多く取り扱っている。使用者側の労働事件を扱う弁護士団体・経営法曹会議会員。
https://www.labor-management.net/
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