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判例に学ぶ労使トラブルの処方箋/岡正俊

どこまで? 障がい者雇用の合理的配慮〜M社事件(大阪地判令7.3.26)〜

近年、労働関係の訴訟は社会的関心が高まり、企業にとって労使トラブル予防の重要性は増しています。判例をもとに、裁判の争点やトラブル予防のポイントなどを解説します。(2026年7月21日)

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【解説】
 障がい者の法定雇用率が令和8年7月から2.7%に引き上げられ、障がい者を雇用する企業は増えています。それに伴い、会社はどこまで障がい者に「配慮すればよいのか」という悩みも多く、本判決はこの判断の参考になるかと思います。特に以下の点がポイントになるかと思います。





(1)障がい者が能力を発揮できる状態
 障がい者側の希望する手段でなくとも、「他の手段により目的が達成できればよい」ということです。使用者側が用意すべきなのは、障がい者が能力を発揮できる状態であり、資料や議事録の共有で情報が伝わっていれば、本人の望む方法そのものでなくても「義務違反はない」とされます。そのためには代替手段の検討が必要になりますが、検討の結果、代替手段がなかったとしても、「いろいろと検討した」という事実を主張することができます。

(2)話し合い等の手続きの重視
 本件の被告会社も、担当者の指名や繰り返しのヒアリングなど対応を重ねており、その積み重ねがあったために被告の裁量内と認められたと言えます。障がい者側から出された要望に対して、「即時にできない」と応答するのではなく、「現状何に困っているのか?」「なぜ、その措置が必要なのか?」等を聞き取り、その上で対応を検討することが必要です。また、聞き取りや会社の判断の経過(場合によっては顧問弁護士に対する相談の経過)等を記録に残しておくことも必要です。

 本判決で義務違反が否定されたのも、こうしたプロセスを丁寧に踏んでいたり、会社として提供可能なもの(アプリの提供)を行っていたからだといえます。



●文/岡正俊(おか まさとし)
弁護士、杜若経営法律事務所代表。1999年司法試験合格、2001年弁護士登録(第一東京弁護士会)。専門は企業法務で、使用者側の労働事件を数多く取り扱っている。使用者側の労働事件を扱う弁護士団体・経営法曹会議会員。
https://www.labor-management.net/
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