私がセブンイレブンのFC店を経営していたとき、スタッフに商品の発注を任せていました。ただ、毎回、スタッフのやった発注をすべて見直し、自分の考えと違っていれば、勝手に発注をやり直すことを繰り返していました。そのことを知ったスタッフは自信を失い、仕事へのモチベーションが低下し、数カ月後には、発注業務を適当にこなすようになりました。
その結果、欠品や廃棄ロスが多くなり、店の利益が大幅にダウンしてしまいました。完璧を求めたことで、経営者である私自身の仕事が増え、スタッフのモチベーションも低下するという状況に陥りました。
70点で合格と捉えてみる
その状態を脱するため、私はスタッフに任せた仕事は「70点で合格」と考えるようにしました。70点とは、雑な仕事をしてもよいという意味ではありません。完璧とは言えなくても、業務をそつなくこなせている状態です。
私がアパレル専門店チェーンで店長をしていたころ、店内で個人売上が常にベスト3に入る女性スタッフがいました。私からすると、足りない部分があり、満点はつけられませんでしたが、彼女の個性や自分なりに工夫をして接客をすることで、お客様にとっては、合格点が取れるスタッフだったのです。
チームづくりでも、一人のスーパープレイヤーに頼るより、全員が70点を取れる状態を目指すことが大切です。例えば、野球では9人全員がシングルヒットを打てば、打順が一巡した時点で6点入ります。一方、4番打者だけがホームランを打ち、他の選手が一本も打てなければ、得点は1点だけです。

このように、誰か一人が100点の仕事をすることより、全員が70点の仕事をするほうが、組織全体で得られる成果は大きくなります。もちろん、安全や法令順守など、ミスが許されない仕事は別です。完璧を目指すことをSTOPするとは、仕事の質を下げることではありません。できている70点を認め、一人ひとりの強みを生かしながら、組織として100点を目指すことなのです。
●文/岡本文宏(おかもと ふみひろ)
メンタルチャージISC研究所株式会社代表取締役、繁盛企業育成コーチ
アパレル店勤務、セブンイレブンFC店経営を経て、2005年メンタルチャージISC研究所を設立。中小企業経営者、エリアチェーンオーナー、店長などに向けた小さな組織の人に関する問題解決メソッドや、スタッフを活用して業績アップを実現する『繁盛企業づくり』のノウハウを提供している。『リーダーの任せる技術』(あさ出版)、『仕事のできる人を「辞めさせない」15分マネジメント術』(WAVE出版)、『人材マネジメント一問一答』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『店長の一流、二流、三流』(明日香出版)など著書多数。
https://okamotofumihiro.com/
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