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判例に学ぶ労使トラブルの処方箋/岡正俊

歓送迎会の帰りに参加者が交通事故死、会社の責任は?〜T社事件(最二小判H28.7.8、労判1145号6頁)〜

近年、労働関係の訴訟は社会的関心が高まり、企業にとって労使トラブル予防の重要性は増しています。判例をもとに、裁判の争点やトラブル予防のポイントなどを解説します。(2026年8月25日)

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【解説】
 社員旅行や懇親会は、参加を任意にしておけば「会社が責任を負うことはない」と考えている経営者の方は多いと思います。実際、社員旅行中の事故について、参加が自由意思に任され、自己負担もあり、主たる目的が観光・慰安であったとして労災を否定した裁判例もあります(多治見労基署長事件<岐阜地判H13.11.1、労判818号17頁>)。
 もっとも、本件判決のように、明確な業務命令がなくても「参加しないわけにはいかない状況」であれば、「会社の支配下にある」と評価されることがあります。





安全配慮義務を問われる可能性は低い

 本件は、自身が運転する自動車の事故によって亡くなったケース(自動車運転という一般的な注意が求められる場面)です。そのため、過労運転等が認められなければ、労務提供の場所・設備・過程における危険から、労働者を保護する「安全配慮義務を問われる可能性は低い」と思います。

 一方、本件のような場面で、運転者の過失の事故により相手を怪我させてしまった場合には、会社の使用者責任が問題になります。使用者責任は、労働者が「事業の執行について」不法行為をしてしまった場合に使用者が負う責任ですので、本件のように業務起因性が認められるケースでは「使用者責任も認められる可能性が高い」と思います。


ハラスメントが問題になるケースも

 懇親会では、ハラスメントが問題になるケースも相談としてよくあります。任意参加の行事であっても、宴席での上司等の言動については会社の使用者責任が問われる場合もありますので、使用者としては気を配ることが大切です。



●文/岡正俊(おか まさとし)
弁護士、杜若経営法律事務所代表。1999年司法試験合格、2001年弁護士登録(第一東京弁護士会)。専門は企業法務で、使用者側の労働事件を数多く取り扱っている。使用者側の労働事件を扱う弁護士団体・経営法曹会議会員。
https://www.labor-management.net/
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