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労働ニュースに思うこと

派遣法改正の意義は?

アイデム人と仕事研究所の所員が、労働関連のニュースに触れて「思うこと」を持ち回りで執筆します。

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 労働者派遣法の改正案が6月19日に衆議院本会議を通過した。会期延長を行い、今国会で成立の見通しとなった。「正社員化を促進する」「派遣労働を固定化する」と賛否両論で、労働者、派遣事業者にとってもどちらとも言えないといった面もあるようだ。
 そもそも労働者派遣法は、1986年に施行されて以来、主に規制緩和(職種や期間の拡大)の方向で改正が行われてきた。しかし、規制緩和方向の改正が続く中、非正規労働者の増加に関し、派遣労働のあり方についても追及されるケースも増え始め、2008年の世界同時不況に始まった、製造現場で働く派遣労働者の雇止めに関する問題は“派遣切り”として社会問題化し、大きく規制強化(直接雇用促進など)改正が行われたのは記憶に新しいところだ。

 規制緩和が、労働者の権利を無視して企業にとってのみ都合のよいものとなるのであれば、とても残念な改正だ。労働市場において、一定の働き方が支持されるには、企業のニーズはもちろん、働き手のニーズにも合致したものでなければならない。
 非正規労働の中で最も多いとされるパート労働は、企業サイドの「人件費の削減」「繁閑への対応」というニーズと働き手の「都合のよい時間に働きたい」というニーズが合致したものだ。さらに社会保険や税金面についての支援が政策によって行われたことによって、労働市場において大きな割合を占めるようになった。不本意非正規労働者、賃金格差等の問題もあり、良いことだらけではないが、それぞれのニーズを埋める働き方であったからこそ、拡大してきたと言える。
 
◆依然増え続ける 非正規労働者
 
 労働力調査詳細集計の「平成27年1〜3月平均」によれば、役員を除く雇用者の総数は、5,587万人でそのうち正規の従業員は3,265万人、非正規の従業員は1,979万人となった。役員を除く雇用者に占める非正規従業員の比率(以下、非正規比率)は、前年同期と同レベルの37.7%となっている。非正規比率を長期時系列(1984年〜2001年までは「労働力調査特別調査」で2月の数値、2002年以降は「労働力調査詳細集計」1月〜3月平均)で見てみると、1985年16.4%であった比率は、1990年に20.2%、1995年20.9%、2000年26.0%、2005年32.3%、2010年33.7%、2015年37.7%と、この30年で20%以上の増加となっている(図1)。



 それでは、派遣という働き方が、非正規労働者を増加させる要因かといえばどうだろうか。


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●文/岸川 宏(きしかわ ひろし)

アイデム人と仕事研究所 所長/社会保険労務士
大学卒業後、リゾート開発関連会社へ入社。飲食店部門での店舗運営を経験後、社会保険労務士資格を取得。社会保険労務士事務所にて、主に中堅・小規模企業の労務相談、社会保険関連手続きに従事した。
1999年、アイデム人と仕事研究所に入社。労働環境に実態に迫る情報提供を目指し、社内・外への情報発信を続けている。2015年4月より現職。

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